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金融市場異論百出

有効なカードはもはやなし
金融政策の限界に悩むFRB

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2010年8月25日
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 FRBは8月10日のFOMCで苦しい判断を見せた。すぐに切れる有効な“緩和カード”が手元に今はないという悩みがにじみ出ていた。今回の決定は「追加緩和策」というほどのものではない。

 ポール・クルーグマンは、「FRBは麻痺している。バーナンキ議長は、10年前に日銀を消極的だと非難したが、今のFRBは日銀と同じだ」と激しく批判している(「インターナショナル・トリビューン」8月14・15日号)。とはいえ、深刻なバランスシート調整を抱える米経済を金融政策で刺激することは、日本がそうだったように、非常に困難な作業である。

 FRBは銀行の準備預金を平時の100倍以上に増加させてきたが、それでもデフレが心配され始めている。量的緩和効果は表れていない。また、フェデラルファンド金利をさらに低下させることについてバーナンキは、7月22日に同市場の取引減少による機能低下を心配する証言を議会で行っている。同市場が事実上閉鎖されると、出口政策時の短期金利制御が困難になるとバーナンキは発言した。

 FOMCが開かれた8月10日朝の欧米主要紙は、フレディマックが米政府に新たな救済資金を求めていることを大きく報じていた。ファニーメイも厳しい状況にある。両社への税金の投入は、“底なし沼”状態だ。FRBは今回、保有する両社関連の巨額の証券(MBSなど1・4兆ドル程度)の中で満期を迎えるものを米国債に入れ替える決定を行った。両社のリスクをFRB幹部は懸念している。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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