FRB、インフレ沈静化でも利下げ控える理由Photo:Douglas Rissing/gettyimages

 米連邦準備制度理事会(FRB)が最近のインフレ動向の改善を受けて、今週の利下げ実施を準備していると考えるには十分な理由がある。ただしそれは、ドナルド・トランプ米大統領の関税政策が物価にもたらすリスクがなければの話だ。

 FRB当局者らは18日、利下げをせずに様子見姿勢の継続を決める方向だ。

 FRB当局者らは同日の金融政策決定会合で、歴史的に大幅な関税引き上げが打ち出されてから最初の数カ月間の米経済状況を分析するだろう。過去3カ月間のインフレ率は 穏やかだった 。それでも当局者らは、 3月以降の関税引き上げの発表 が、エコノミストらが「インフレ期待」と呼んでいるものをどれほど混乱させる可能性があるかについて懸念している。

 インフレ期待、つまり消費者や企業が将来のインフレ動向についてどう考えているかは、見ることも触って確かめることもできない。研究者たちは調査を実施したり、将来のインフレ見通しに基づく投資家の動向から推測したりする。

 インフレ期待の測定は極めて困難だが、FRBにとっては非常に重要だ。経済理論では、インフレ期待は実際のインフレ率を決める上で極めて重要な役割を果たしていることが示されている。

 次のような考え方だ。小売業者は明日にコストが上昇すると予想すれば、先回りして今日のうちに値上げをする。地主は家賃に関して同様の対応を取る。労働者は生活費が上がると予想すれば、昇給を求めて今交渉するだろう。

 「インフレが進むと誰もが予想すれば、インフレ率は実際に上昇する。それがFRBの懸念していることだ」と、投資銀行UBSのエコノミスト、アラン・デトマイスター氏は指摘した。