超小型EVリモノが“しくじらない”ための3つの条件東京・表参道の裏手の小道。洒落たレストランの前に、報道陣が詰めかけた Photo by Kenji Momota

知人だからこそ
あえての苦言、提言

 ライトブルーの布製ボディに、可愛らしい顔立ち。東京・表参道から二筋ほど住宅地に入った小道によく似合う。

 全長2.2m×全幅1.0mの小型電気自動車。その名は、「rimOnO(リモノ) プロトタイプ 01」。

 5月20日午前11時から開催された、実車初公開の記者会見はアットホームな雰囲気で進行した。その模様は、同日夜のテレビ東京系列「ワールドビジネスサテライト」や各種ウェブニュースなどで配信された。

超小型EVリモノが“しくじらない”ための3つの条件rimOnOの創業者、伊藤慎介氏(左)と、共同経営者の根津孝太氏 Photo by Kenji Momota

 さて、筆者はrimOnO創業者の伊藤慎介氏と、共同経営者の根津孝太氏とは、取材者と取材対象という関係以上の親交がある。伊藤氏が霞ヶ関勤務を辞めて創業を決意した際にも、「知り合いのひとり」として助言をした。

 そのため、彼らがいま何を考え、これから何を目標に前進しようとしているかを“ある程度”理解している。

 そのうえで、20日の記者会見での彼らのプレゼンテーションを聞いた「取材者のひとり」として、その場で感じた「疑問」と「期待」を「提言」という形でまとめてみたい。

「SIMドライブ」になるな

  “半信半疑だが、まずは少し様子を見てみよう”

 それが、会見に集まったメディアに共通の意識だと思う。

 なぜかというと、2000年代後半頃を基点に、日本ではEVや小型EVで数多くのベンチャーが誕生し、そのほとんどが消滅しているからだ。経済産業省の「EV、PHVタウン構想」や、国土交通省の「超小型モビリティ」など、EV関連の政策の多くが成功したとは言い難い状況に陥り、EVベンチャーたちがその煽りをくった。具体的な事例は、本連載の過去ログを参照していただきたい。

 こうした過去の失敗事例が大量に存在するなか、「rimOnO」が生まれた。同社の売りはズバリ、「元経済産業省(伊藤氏)+元トヨタ(根津氏)」という枕詞だ。それ以外には、今回のプレゼンを見れば分かるように、大した特徴はない。