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金融市場異論百出

EU離脱で地中海旅行の予算増
国民投票前に英政府必死の説得

加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
2016年6月3日
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 「DIY景気後退になる」。ジョージ・オズボーン英財務大臣は、6月23日に行われる国民投票で英国が欧州連合(EU)離脱となったら、深刻な不景気を自分自身で招いてしまう(Do It Yourself)という意味で、その言葉を使った。

地中海でのバカンスのコスト増加を持ち出すなど、英政府はなりふり構わず、EUからの離脱を英国民に思いとどまらせようとしている Photo:PIXTA

 「夏の休暇で地中海などEUの観光地に行く家族は、そのコストが230ポンド上昇する」。デビッド・キャメロン英首相も離脱を阻止しようと英国民に必死で訴えている。

 離脱の場合、為替市場でポンドが急落し、航空運賃や宿泊費、食費が上昇する。この時期、夏休みの計画を立てている家庭は多い。ポンド安の“脅威”は訴求力があるとキャメロン首相は考えたようだ。日本政府は円安を歓迎するが、それとは対照的な発言だ。

 英財務省はEU離脱時の影響を試算した。残留する場合に比べて、2年後に国内総生産(GDP)は3.6%低く、インフレ率は2.3%高くなり、失業者は52万人増え、賃金は2.8%減る。ポンドは12%下落し、住宅価格は10%低くなる。最悪シナリオの場合は、GDPは6%下がり、失業者は82万人増え、賃金は4%減り、ポンドは15%下落、住宅価格は18%低くなるという。

 英中央銀行であるイングランド銀行のマーク・カーニー総裁も、EU離脱が英経済を悪化させるリスクを警告している。もし離脱となれば、政策金利は0%へ引き下げられるだろうとの見方が金融市場では増えている。

 そうした悲観的な英当局の試算に対して、EU離脱派は「根拠薄弱だ」「国民に脅しをかけるプロパガンダだ」と猛反発している。

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