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英国離脱が引き金を引くEU崩壊と世界経済混乱

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第422回】 2016年4月5日
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ロンドン在住アナリストが
危惧している欧州の情勢

日本では英国の国民投票について、EU離脱を選択することはないという楽観的な見方が多いが…

 最近、ロンドン在住のアナリストの友人が東京に来た。目的は、今後の日本企業の業績見通しを企業経営者にヒアリングすることだ。

 彼は日本企業に関して、「企業業績は欧州の投資家が見ているほど悪くはないが、これから為替が円高方向に動くと厳しい」との印象を持ったようだ。恐らく、その見立ては、他の海外投資家とほぼ同じだろう。

 それよりも気になったのは、彼の欧州情勢に関する話の内容だった。足元の情勢を考える上で最も重要なポイントは難民問題だという。シリアなどから欧州諸国に大量の難民が押し寄せているため、社会全体が不安定化している。

 特に、フランスやベルギーなどで、過激なテロ事件が発生し、フランスやドイツをはじめ多くの国が深刻に頭を悩ませる問題になっている。

 問題の根源には、原油安などに起因する中東地域の経済低迷や、米国の政治力低下によるロシアなどの存在感の高まりなどの要因が複雑に絡んでいる。その意味で欧州地域が抱える難民問題は、世界的な構造変化の歪みが顕在化しているとも言える。

 歪みの一端は、世界的な政治情勢の変化にも見て取れる。ドイツでは、難民の受け入れに反対する勢力が台頭している。米国の大統領選挙の候補者選考の過程では、いずれも候補者の主な論点は米国国内に目が向いている。

 世界経済が過剰生産能力を抱える中で、国民が自国の利益を優先する姿勢は仕方がないのだろう。しかし、目先の利益だけではなく、長い目で見た利益を目指すことを諭すのが政治の役目だろう。最近、そうした政治の機能は明らかに低下している。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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