『週刊文春』が報じた、飛行機はファーストクラス、ホテルはスイートルームという豪華すぎる外遊問題がきっかけとなり、さまざまな政治資金を巡る問題が噴出。火だるま状態となった舛添要一・東京都知事。辞任も時間の問題かと思われたものの、ここに来て実はすでに自民党東京都議団と手打ちが終わり、留任の方向で話が進んでいるという。ここまで追い込まれたにもかかわらず、舛添氏は、なぜ辞めずに済むのだろうか?
自民党都議団のドンとの間で
都知事留任の方向で話がついた
「舛添さんは、5月20日の定例記者会見で『第三者の厳しい目で調べる』と繰り返していました。実は、この数日前に、舛添さんは自民党東京都義の内田茂さんと会っていました。彼との間でとりあえずは様子見の方向で話がまとまったそうです」
そんな裏事情を話してくれたのは、政界の動向に詳しいジャーナリストの鈴木哲夫氏。鈴木氏は続けて次のように解説する。
「内田さんは、都議を7期も務めてきたベテランで、過去には東京都議会議長を務め、現在は自民党東京都連幹事長。『自民党東京都議団のドン』とも言われる大物です。この内田さんが舛添さんに『自民党としては、とりあえず辞任ということにはしない』というような話をしたとされます。それを聞いて安心した舛添さんは、次の会見からまた軽口を叩ける余裕が出てきたと言われています」
あれだけスキャンダルが噴出して、辞めない理由はないとも思われる舛添氏だが、なぜ自民党との手打ちが成立したのだろうか?鈴木氏によれば、4つの理由があるという。
「まず1つ目の理由は、適当な後継者がいないということ。今、舛添さんが辞めて知事選になったとすると、自民党には後継の公認候補がいません。また、舛添さんの後継者を探す時間もありません。7月には参院選がありますが、東京選出の2人目の候補も正式に決めて、選挙戦に全力をあげなければなりません。とにかく忙しくなりますから、とてもじゃないけど都知事選に公認候補を探せるような時間的余裕がありません」
今、舛添知事が辞任して都知事選となった場合、自民党は有力候補を擁立できない。では、仮に都知事選が実施された場合、どうなるだろうか?自民党が恐れている事態が起こる可能性がある。
「2つ目の理由は、橋下徹や東国原英夫に都知事になられたら、たまったもんじゃないということ。まず、橋下さんは昨年12月に大阪市長を辞め、現在はタレントとしての活動が目立っていますが、安倍首相やその周辺と依然として良好な関係を保っており、政界復帰が噂されています。知名度も影響力も大きい橋下さんが東京都知事になれば、おおさか維新と連動して、国政にも手を伸ばしてゆくでしょう」
「そして、もう1人、東国原さんも都知事選に出たがっていると言われています。東国原さんは宮崎県知事としての実績があり、2011年には東京都知事選挙に立候補し、169万票を獲得。12年から13年までは衆議院議員を務めました。橋下さんにしても東国原さんにしても、都知事になられると自民党都議団としては、非常にやりにくい。2人とも発信力がありますから、自民党に都合のいい都知事にはなってくれません。自民党は議会運営に苦労することになるでしょう」