舛添要一東京都知事に対する政治資金の私的流用疑惑の批判が絶えない。思えば、舛添氏だけでなく、猪瀬前都知事や今年1月に経済財政・再生大臣を辞任した甘利明前大臣など「政治とカネ」の問題が尽きないのはなぜなのか。その根本的な問題を解説する。(政治ジャーナリスト 松井雅博)

「政治とカネ」問題は永遠に続く!?
なぜ「せこい」政治屋が生まれるのか

20日、舛添都知事がかねてから問題視されている自身の政治資金を私的に流用した疑惑などについて会見を開き、第三者に調査を委ねることを明らかにした
Photo:日刊スポーツ/アフロ

 5月20日(金)、舛添要一東京都知事がかねてから問題視されている自身の政治資金を私的に流用した疑惑などについて会見を開き、第三者に調査を委ねることを明らかにした。家族旅行や飲食代、果ては美術品の購入費まで政治資金を利用していたという疑惑について、特段具体的な説明はなかった。

 贅沢な海外出張や週末に別荘に通うための公用車の私的利用、似顔絵饅頭の大量購入や白紙の領収書を集めていた事実も批判の対象となった。会見で舛添都知事は謝罪した上で続投を宣言しているものの、辞職を求める動きは止まらないだろう。来週にも開かれる都議会本会議で追及されることは免れない。

 そもそも、2012年12月に東京都知事に当選した猪瀬直樹前都知事が、たった1年で「政治とカネ」の問題で辞任。空席を埋めるために行われた選挙で選ばれたのが、舛添都知事だった。それゆえ、一連の舛添都知事の「政治とカネ」をめぐる報道に落胆し、あきれかえった方も多かったのではなかろうか。

 それにしても、日本の首都東京のトップともあろう大物政治家がこんな「せこい」ことをしてしまうのはなぜなのか。俗っぽい欲求を満たすために、政治生命を危機に晒すのはどう考えても釣り合わないように思える。

 さらに、公用車の利用や公費出張などは舛添都知事に限ったことなのか、これまでの都知事や国会議員にも同じような税金の無駄遣いの仕組みがありはしないのか。

 猪瀬前都知事や舛添都知事だけでなく、今年1月に経済財政・再生大臣を辞任した甘利明前大臣など、叩かれても叩かれても「政治とカネ」の問題が政界から尽きないのはなぜなのか。

「政治家はカネに汚い」という悪い印象だけが独り歩きしがちだが、これを放置したままでは、来年も再来年も、永遠に同じ問題が続く気がする。それを止めるためには、制度として何を変えるべきで、有権者として何ができるのか――。

 こういった論点を「精査」することなく、単なる一過性のスキャンダルとして風化させてはならない。世の中の論調を眺めると、舛添都知事個人に対するバッシングが多いが、本稿ではそもそも「志を抱く政治家」がなぜ「私腹を肥やす政治屋」になってしまうのか、という根本的な問いについて論じてみたい。