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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

韓国『魔法千字文』ブームと北海道千歳の観光戦略に見る「漢字」の力

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第17回】 2010年9月2日
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 北海道の千歳空港で東京に帰る飛行機の搭乗を待っていて、手元の全国紙を広げると、韓国で「漢字復活」の潮流があると報じる記事に目がとまった。

 記事によると、韓国では、楽しみながら漢字を学べる小学校低学年向けの学習マンガ『魔法千字文』シリーズが大ヒットしている。ストーリーの合間に漢字の意味や書き順を教える解説のページが入り、1冊で約20字の漢字を学べるそのシリーズは、2003年11月以降18巻刊行され、累計1200万部売れたという。あまりの人気ぶりを見て、テレビアニメ化する動きも出てきたそうだ。

 朴正煕(パクチョンヒ)政権時代の1970年に漢字廃止宣言が出され、ハングル一本化の道を突っ走ってきた韓国だったが、最近になって漢字復活の流れが出てきた。その原因として、漢字検定試験の結果が内申書に反映されることや、経済的に中国の存在感が高まったため韓国の一流企業の社員採用基準に漢字の習熟度を求められるようになったことや、儒教という伝統に回帰する社会的動きなどがあげられる。

 この記事を読んで、漢字文化を大事にしてきた日本の賢明さが逆に印象付けられた。1泊2日の強行軍で北海道千歳の観光事情を取材するための旅行だったが、到着した日、出迎えてくれた社団法人千歳観光連盟の幹部たちから、地元の観光誘致活動についての努力をいろいろと紹介された。

 そのうちの一つがウェディング観光誘致作戦だと聞いた時、顔には出さなかったが、リゾートウェディングといえば、沖縄や軽井沢なら納得するが、千歳にはそれほどウェディング観光誘致に有利な観光資源はないのではと思い、他人のやっていることをただ真似しているだけではないか、とひそかに考えた。

 だが、幹部の次の言葉に驚かされた。

 「私たちの地名である千歳は新婚カップルにとってとても縁起がいいのです」。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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