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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

有効求人倍率が高くても、決して歓迎できない理由

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第65回】 2016年6月9日
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有効求人倍率が高くても、雇用条件の改善を意味している訳ではなさそうです

 厚生労働省が先日発表した4月の全国の有効求人倍率(季節調整値)は、3月から0.04ポイント上昇して1.34となった。これは、1991年11月の1.34と並ぶ、24年5ヵ月ぶりの高水準だ。また、就業地別の求人倍率が全都道府県で初めて1を超えた。

 厚生労働省は、有効求人倍率の上昇を、「景気が緩やかに回復していることに伴い、雇用情勢も改善している」ことの反映だとしている。

 しかし、内容を分析すると、高い有効求人倍率が示すのは、人手不足の深刻化であり、賃金が低い分野での超過労働需要であることが分かる。

求職者の減少の影響が大きい
有効求人倍率の上昇

 第1に注目すべきは、求職者の減少の影響が大きいことだ。

 有効求人倍率は、求人数の増加(つまり、雇用条件の改善)だけでなく、求職者の減少(つまり、人手不足の深刻化)によっても上昇する。

 これまでは、両者がほぼ同じような影響を与えていた。

 2015年12月以降を見ると、求職者の減少の影響のほうが大きい。

 図表1に見るように、求職者は、15年12月以降、かなり減少している。16年4月を15年12月と比較すると、約8万6000人の減(4.4%の減)だ。

 それに対して、求人数は、4月には増加したのだが、3月まではあまり顕著な増加ではなかった。16年4月を15年12月と比較すると、約1万9000人の増(0.8%の増)にすぎない。

 つまり、この期間では、求職減のほうが約4.5倍の規模だったのである。

◆図表1:求人数・求職者数

(資料)一般職業紹介状況(職業安定業務統計)

労働人口の減少で
長期的にも労働力不足は深刻化

 長期的に見ても有効求人倍率は上昇している。それは、求人数が増えたことにもよるが、労働力人口の減少によって求職者が減ったことの影響もある。

 これについては、この連載ですでに指摘した(2015年6月4日、第15回「雇用情勢は好転ではなく、むしろ悪化している」の図表6:有効求人数と有効求職者数の推移)。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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