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ユニ・チャーム式 自分を成長させる技術
【第3回】 2016年6月15日
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高原豪久

成功に王道はないが、失敗にはパターンがある!
ビジネスで失敗を繰り返さないための5原則

ユニ・チャームの社長に就任以来、海外市場の開拓をテコに約15年間で売上高を約3倍に伸ばした高原豪久社長。急成長を支える人材育成の秘密に興味が湧きますが、意外にも「人は育てられない、勝手に育つもの」というのが持論で、育ちたいと願う人がみずから成長できる環境や仕組みづくりに注力されています。その一貫として日ごろ社内で徹底してほしいと思われている行動原則について、著書『ユニ・チャーム式 自分を成長させる技術』から一部を紹介していきます。

ビジネスの成功に王道はありませんが、失敗にはパターンがあると私は考えています。ここで改めて失敗の原因について考えてみましょう。

ビジネスの成功に王道はないが、失敗にはパターンがある。それを避ける方法とは?

 大概の場合、理由は大きく2つあると私は思います。

 (1) 事実を直視できなかったこと

 (2) 作り手の論理に囚われてしまったこと

 では、なぜ事実を直視できなかったのか、なぜ作り手の論理に囚われたのかについて、さらに深く掘り下げてみました。すると、以下に記す5つの要因を抽出することができました。

(1)周囲のアドバイスを無視しない

 人間は自分を過大評価しがちです。自信過剰だと周囲から適切なアドバイスや忠告があっても、聞いている素振りだけで実際には何も聞こえなくなります。さらに自分のほうが経験豊富で専門性も優れていると一度思い込んでしまうと、もうその相手が伝えてくれる情報やアイデアを無視し、自分の情報やアイデアのほうが正しいと思い続けることになります。
 現場に最も近い人たちの意見や顧客を最も知っている人たちの意見を重視することは当然ですが、それ以外の、たとえ門外漢とされる人の意見でも絶対に無視しないことです。

(2)感情に流されない

 事業撤退や商品の廃番、遊休設備の除却、取引先との取引停止など、特に“負の遺産”と呼ばれるような失敗案件に対処するときによく起こるのが、意志決定の内容が感情によって左右されてしまうことです(ちなみに、私は経営判断を行うにあたって何より意志が大切だと考えているので、いつも“意志“決定と書いています)。
 人間であれば、何とかしてやりたい、もうちょっと何とかならないかとあれこれ思い悩むのは当然でしょう。しかしそんな感情に流されては物事を悪化させるばかりです。「大事は理を以て決し、小事は情を以て処す」を心掛けなければなりません。

(3)鳥の目で見る

 鳥(鳥のように全体を俯瞰する目)、虫(現場を歩き、実態を把握する目)、魚(潮の流れの微妙な変化を素早く察知する目)の3種類の目を駆使することが重要です。特に、“鳥のように高みから全体を俯瞰して見る目”が大切です。
 これまでの成功ばかりに目が向いてしまい、国内外の新たな競合や顧客の新たな変化の潮流を絶対に見落とすことがないようにしなければなりません。独善的で自己中心的な視野の狭さが意志決定を誤らせます。

 たとえば、

・決定根拠としたこの情報は本当に正しいのか
・今現在でも有効か、他に見落としている情報はないか
・そもそもずれてしまった当初計画との差異原因は何だったのか
・自部門や全社の目標に対して、この方向性で本当に合っているのか
・軌道修正によってさらに道が逸れるようなことはないのか

 など、重要な意志決定であればあるほど、必ず鳥の目でもう一度冷静に全体を俯瞰してみることが大切です。

(4)相手の立場に立つ

 顧客の心の襞に分け入り、琴線に触れるまで顧客の根源的な価値を洞察しなければなりません。何事も常に多様化、進化することを前提に置いて仮説検証を粘り強く、あきることなく実践し、意志決定の精度を高め続けることが必要です。
 ここでの“相手”はユーザーや消費者ばかりでなく、競合企業や取引先、パートナー、株主そして会社の同僚も含まれます。

(5)判断基準に偏りがない

 一世を風靡したITベンチャーが長続きしなかったり、会社同士のジョイント・ベンチャーが失敗するのは、トップ同士の友情を過大評価し過ぎるからだと言われます。お互いに親近感をもち友情があるばかりに、一緒にビジネスをする場合もやりやすいと思い込んでしまうからでしょう。
 親密な人間関係が意志決定を左右するのはベンチャー企業だけではありません。適材適所の原則で人事を考えているつもりでも、過去も含めて自分と緊密な関係にある人材のほうが、相手の詳細情報を入手しやすく、次の異動先での貢献イメージが湧きやすいのは事実です。
 あなたは友人・知人などに対し、緊密であるがゆえの暗黙の不可侵意識をもつなど、“緊密さ”が意志決定を偏らせた経験はありませんか。

 我々は、それぞれ社内外で社会的なつながりや絆のなかで暮らしています。社内も含めて社会的なつながりは大切ですが、それが重要な意志決定にも影響を与えてしまう危険性も自覚し、誤った判断をしないよう戒めなくてはなりません。
 また人間は、組織全体が良くなることよりも自己の保身を優先する傾向が強くなることも自覚しておく必要があるでしょう。
 たとえば専門性や強み、性格が自分と重なる人物に対しては、その相手に負けたくないという思いが出て評価が厳しくなったりしがちです。そのため、常にフェアプレイを意識し、高い倫理観を念頭に保ち続けることが重要です。

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高原豪久(たかはら・たかひさ)

ユニ・チャーム代表取締役社長執行役員。
1961年愛媛県生まれ。成城大学経済学部卒。銀行勤務を経て、91年ユニ・チャーム入社。台湾現地法人副董事長、サニタリー事業本部長、国際本部担当、経営戦略担当などを歴任後、2001年代表取締役社長に就任。生理用品や子供用紙おむつ、介護用品などを主力事業として、国内はもちろん海外市場への事業展開を強化してきた。80超の国・地域に進出、社長就任から約15年で売上高を3倍、海外売上比率を全体の1割から6割にまで伸ばし、成長を加速させている。


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