先月に行われた決算発表会において、投資先の順調な成長を強調した孫正義社長。一連の売却に続く「次の一手」に注目が集まる Photo by Shinya Kitahama

 借入金を企業買収や出資に充てることで急成長を続けてきたソフトバンクグループのレバレッジ経営が踊り場を迎えている。今年3月末時点で11兆9224億円という巨額の有利子負債を抱えていた同社は、「財務体質の強化のため」(ソフトバンク広報)、今月に入り保有する株の売却を相次いで発表した。

 6月1日に発表された中国電子商取引大手のアリババ株売却額は、当初79億ドル以上を予定していたが、シンガポールの政府系ファンドなどから引き合いが殺到したため100億ドルまで拡大。3日にはスマートフォンゲーム大手のガンホー・オンライン・エンターテイメント株の保有分の約9割を売却し、ガンホーが株式公開買い付け(TOB)で買い取ることを明らかにした。

 一連の売却によってソフトバンクが手にする資金は1兆円を超えるが、さらに、フィンランドのスマホゲーム大手であるスーパーセル株の売却もささやかれている。

 先月行われた決算発表会で孫正義社長は「今後はこれまで以上に投資や売却を行っていく」と発言している。今回、まず言葉通り売却を行ったわけだが、新たな投資も行われるのか。売却で手にした資金は、同社の説明通りなら財務体質の強化に充てられるところだが、ある金融関係者は「1兆円を元手に日本ヤフー株を買収するのではないか」と推測する。