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金融市場異論百出

ヘリコプターマネーに漂う幻想
金融政策は“ただ飯”ではない

加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
2016年6月16日
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 退任早々の元日本銀行幹部による異例の発言が物議を醸している。

 5月末に日銀理事を退任した門間一夫氏が、日銀による2017年度中のインフレ目標2%達成は「相当ハードルが高い」と、米通信社ブルームバーグに語ったのだ。特定の近い時期に目標達成を目指す姿勢を続けると、「さらに想像を絶するような対応を取っていくことになる」とも指摘している。

日本銀行内でも、現在の金融政策を続けることに対する危機感が強まってきているようだ Photo:角倉武/アフロ

 黒田東彦日銀総裁や金融政策を担当している日銀企画局は、そうした考えから距離を取っているだろう。しかし、「このままではまずいのではないか」と危機感を抱く日銀関係者は増えているようだ。

 このところ多くのインフレ指標が、2%に近づくどころか失速を見せ始めている。今年に入ってからの円高で輸入物価が低下してきていることが第一の要因である。

 また、暖冬や株価下落による逆資産効果によって、昨冬以降の消費意欲は弱めで推移してきた。最近は企業が以前にも増して敏感に価格を設定するようになっている。POS(販売時点情報管理)データなどで需要の強弱をほぼリアルタイムで判断できるからだ。

 需要の弱さを感じた企業は、4月以降の値上げを警戒的に抑制した。その結果、全国のスーパーマーケットの販売価格を集計している日経CPINow・T指数前年比は、+0.5%前後に急落した(昨年11月上旬は+1.7%)。

 他方で、非正規雇用を中心に実質所得は緩やかに増えており、原油価格も底打ちしている。それらの要因でインフレ率低下に歯止めがかかってほしいと、日銀は祈っているところだと思われる。

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