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ニッポンビジネス・ななめ読み

期待かかるインフラ輸出、足を引っ張るのは誰だ

相場英雄
2010年9月6日
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 「クルマ、家電、アニメのコンテンツ」・・・。日本が世界に誇る輸出品と言ったら、読者はどんなモノを思い浮かべるだろうか。以上で記したような誰もが思い浮かぶ品々ではなく、最近はある分野の製品やサービスが取り上げられる機会が増えている。

 それは「インフラ」だ。鉄道や水道、電力施設など、人々の生活に密着した製品やサービスが、新興国向けに積極的に売り込まれている。

 ただし、主要メディアで報じられているほど現状は甘くないようだ。 

最後の目玉商品が「インフラ」

 「ついこの前も証券会社のセールスとアナリストが積極的にプレゼンしていったよ」。過日、某海外機関投資家と会った際、こんな言葉が漏れてきた。

 日本株を運用する友人がセールスから熱心に売り込まれたのは、「インフラ関連銘柄」である。なぜ今、日本のインフラ技術、そして関連する銘柄が注目されているのか。

 中国や東南アジア、あるいはアフリカ、中南米など急速に経済成長を遂げている新興諸国の大半は、水道や電力あるいは公共交通機関が未整備な地域が少なくない。そのため、「関連企業は積極的に現地事務所を開設、需要の取り込みに動いている」(証券会社関係者)。

 筆者自身、過去に新興国へ出向いた際、停電トラブルに遭遇したり、水道の水質の悪さに辟易した経験がある。こうした国々で、経済成長とともにインフラ整備が急務となっているのは、皮膚感覚で理解できる。

 この海外投資家に対して証券会社のセールスは、アジアの空港建設、高速道路建設、あるいは米国や豪州での鉄道建設計画、そしてこれらの事業獲得に意欲を見せる日本企業の一覧を提示したという。

 この話に接し、筆者は膝を打った。クルマや家電は欧米のライバル企業が目白押しであり、ともすれば韓国、中国勢にシェアを奪われた分野さえもある。インフラは日本の新たな目玉商品に育つのでは、というのが率直な感想だった。

 だが、筆者の友人であるその海外投資家の反応は、極めて冷淡だった。

インフラ関連企業もガラパゴス化?

 別の海外投資家に日本のインフラ関連銘柄について尋ねた際、こんな答えが返ってきた。「ひと言で言えば、『オーバースペック』が日本勢の弱点だ」

 この投資家の本拠地は米国。オバマ政権下で、主要都市を結ぶ高速鉄道網に80億ドルを支出する計画が進行中だ。

 西部のカリフォルニア州を縦断する路線や、中西部のシカゴを中心とした路線、東海岸ではフロリダ州や首都ワシントン近郊の路線の近代化も計画されている。これらには、日本のJR東海が参入への意欲を高めている。

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相場 英雄 Hideo Aiba

作家・経済ジャーナリスト。1967年新潟県生まれ。元時事通信社記者。2005年に『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞。2006年、時事通信社を退社、創作活動に。近著に『ファンクション7』(講談社)、『偽装通貨』(東京書籍)、『みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎 奥会津三泣き 因習の殺意』(小学館)、『佐渡・酒田殺人航路』(双葉文庫)、『完黙 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎 奥津軽編』(小学館)、『みちのく麺食い記者 宮沢賢一郎 ~誤認』(双葉文庫)、『みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎 追尾』(小学館文庫)、『金融報復 リスクヘッジ』(徳間書店)など。


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日本のビジネスを深部で突き動かす見えない潮流。ありきたりの経済ニュースからは、その流れは見えてこない。作家兼業ジャーナリストの筆者がニッポンビジ ネスの構造を一刀両断。斜に構えた視線だからこそ見えてくる真実がある。

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