かかる医療費は「再発防止の治療」の
コースにより大きく異なる
昨年秋以降、芸能人の乳がん罹患の発表が相次いでいる。私の周囲でも、昨年は同居している夫の母(82歳)や、仲の良い友人が乳がんになったことから、乳がん発症のピーク年齢である同世代の友人たちから「乳がんになったら治療費はいくらかかるの? 今入っている保険で大丈夫かな」と尋ねられることが増えている。
今回は、乳がん治療にかかる医療費とその備え方について取り上げる。この連載コラムの読者の多くは男性なので「もし、妻や母親が乳がんになったら」という視点で読み進めてほしい。
まず知っておきたいのは、乳がんは手術後に再発予防の治療が長く続くこと。治療が長期にわたるとお金もかかることになる。義母の場合は、結果として手術後はホルモン療法だけですみ、10日間の入院・手術費用は自己負担1割で7万円弱だった。退院後のホルモン療法は、3ヵ月に1回の通院で1回3000円弱で済んでいる。
一方友人の場合は、手術後の病理結果でリンパ節転移が認められ、転移部分は手術で取り切れているが、再発予防のための抗がん剤治療をすることになった。加えて乳房温存手術だったため、抗がん剤のあとに放射線治療の予定もある。医療費は義母に比べ負担の重いものになった。
再発予防の治療は、抗がん剤や放射線、ホルモン療法があり、どの治療コースになるのかは乳がんのタイプや広がりによって決まる。すべて必要な場合もあれば、ホルモン療法だけの場合もあり、医療費もコースや薬の種類によって異なる。
友人の医療費の例を取り上げながら、医療保険やがん保険でどの程度カバーできるのかを見ていこう。