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最高のリーダーは何もしない:内向型人間が最強のチームをつくる!
【第43回】 2016年7月1日
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藤沢久美 [シンクタンク・ソフィアバンク代表]

代表監督では味わえなかった
企業リーダーとしての苦悩
―岡田武史×藤沢久美 対談(1)

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サッカー日本代表監督としてワールドカップでも功績を残してきた岡田武史さん。現在は四国サッカーリーグ・FC今治のオーナーとしてクラブを運営するかたわら、環境や教育の問題にも取り組む。

岡田さんはリーダーとして何を目指し、自身に何を課しているのか?5万部を超えるヒット作となった『最高のリーダーは何もしない』著者・藤沢久美さんは、岡田さんのどんなところに「新しいリーダーシップの理想形」を見出したのか?

今回から全3回にわたって対談の模様をお届けする。
(撮影/宇佐見利明 構成/高橋晴美 聞き手/藤田悠)

代表監督というリーダー、経営者というリーダー

岡田武史(おかだ・たけし)
FC今治オーナー
1956年生まれ。大阪府立天王寺高等学校、早稲田大学でサッカー部に所属。同大学卒業後、古河電気工業に入社しサッカー日本代表に選出。
引退後は、クラブサッカーチームコーチを務め、1997年に日本代表監督となり史上初のワールドカップ本選出場を実現。その後、Jリーグでのチーム監督を経て、2007年から再び日本代表監督を務め、10年のワールドカップ南アフリカ大会でチームをベスト16に導く。中国サッカー・スーパーリーグ、杭州緑城の監督を経て、14年11月四国リーグFC今治のオーナーに就任。
日本サッカー界の「育成改革」、そして「地方創生」に情熱を注いでいる。

(編集担当)藤沢久美さんの著書『最高のリーダーは何もしない』では、ビジョンを考え抜き、それをメンバーに浸透させる力をもったリーダーが理想とされています。藤沢さんは、そんなリーダーの典型のお一人として、岡田武史さんのお名前を挙げていらっしゃいました。

【藤沢久美(以下、藤沢)】そうなんです。岡田さんはかつてはサッカーの監督、そしていまはサッカークラブのオーナーとしての顔が有名ですが、企業の顧問やアドバイザー、環境問題への取り組みなど、本当に幅広く活躍されているリーダーです。

今日はお話しいただきたいことがたくさんあるのですが、そのなかでも今、とくにお聞きしたいのは、「サッカー日本代表監督としての岡田さんと、オーナー、つまり経営者としての岡田さんとでは、リーダーシップについてどんな違いを感じているか?」ということです。

【岡田武史(以下、岡田)】なるほど、たしかにそれをひしひしと感じる毎日ですよ。まず代表監督と会社経営とでは、結果が出るまでのスパンがまったく違うよね。監督なら1年契約とかも当たり前だし、結果が出なければ辞めるという覚悟で戦っているけれど、経営者は社員の人生を考えなければいけない。そういう違いがあるからか、指導者のプレッシャーと経営者のそれは、性質がまったく違いますね。

藤沢久美(ふじさわ・くみ)
シンクタンク・ソフィアバンク代表
大学卒業後、国内外の投資運用会社勤務を経て、1996年に日本初の投資信託評価会社を起業。同社を世界的格付け会社スタンダード&プアーズに売却後、2000年にシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画。2013年、代表に就任。そのほか、静岡銀行、豊田通商などの企業の社外取締役、文部科学省参与、各種省庁審議会の委員などを務める。
15年以上にわたり1000人を超えるトップリーダーに取材。大手からベンチャーまで、成長企業のリーダーたちに学ぶ「リーダー観察」をライフワークとしている。
著書に『なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか』『最高のリーダーは何もしない』(以上、ダイヤモンド社)など多数。

【藤沢】じつは私はいま、文部科学省「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム リーダー」という肩書きでお仕事をしています。このプロジェクトでは、上司として馳浩文科大臣や事務次官がいるので、私はいわば中間管理職なわけですが、あくまでもこれはイベント開催までの「期間限定のチーム」です。岡田さんも代表監督のときにはまず短期的に結果を出すことが求められてきましたが、今は経営者というお立場です。感じること、求められる手腕も違いますよね?

【岡田】代表監督になると、その期間はとてつもなく大きなプレッシャーを背負わされます。当然期待もされるし、結果が出なければ凄まじいバッシングも受ける。対して、経営者のほうは、真綿で首を絞められるような、じわじわとしたプレッシャーなんだよね。たとえば「6ヵ月先の資金繰りは大丈夫かな?」とか、そういうことを考えていると、夜中に目が覚めたりする。監督のころは、そういうことってなかったなあ、と。

【藤沢】あの岡田監督が資金繰りで頭を悩ませるというのは、サッカーファンには想像がつかないかも…。

【岡田】監督の場合、最終的には自分のスタッフと、その家族の面倒がみられればいいし、スタッフもプロだから、「最悪、次の働く場は自分で考えろ」と言うこともできる。もし経営側とチーム運営などの面で衝突して「やってられない」「冗談じゃない」と思ったら辞めればいい。言い方を変えれば、そういう覚悟がなきゃできない仕事なんだよね。
でも経営者はそうはいかない。みんなに給料を払わなければならない。選手やスタッフ、約60人に給料を払い続けるというのは凄いプレッシャーだし、「もう俺はいやだから辞める」とは言えない。「誰がなんと言おうが俺はこのやり方でやる」なんてことはできなくなったね。

【藤沢】まさにリーダーとしての立ち位置が変わる、ということですね。

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藤沢久美 [シンクタンク・ソフィアバンク代表]

(ふじさわ・くみ)大学卒業後、国内外の投資運用会社勤務を経て、1996年に日本初の投資信託評価会社を起業。同社を世界的格付け会社スタンダード&プアーズに売却後、2000年にシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画。2013年、代表に就任。そのほか、静岡銀行、豊田通商などの企業の社外取締役、文部科学省参与、各種省庁審議会の委員などを務める。
2007年、ダボス会議(世界経済フォーラム主宰)「ヤング・グローバル・リーダー」、翌年には「グローバル・アジェンダ・カウンシル」メンバーに選出され、世界の首脳・経営者とも交流する機会を得ている。
テレビ番組「21世紀ビジネス塾」(NHK教育)キャスターを経験後、ネットラジオ「藤沢久美の社長Talk」パーソナリティとして、15年以上にわたり1000人を超えるトップリーダーに取材。大手からベンチャーまで、成長企業のリーダーたちに学ぶ「リーダー観察」をライフワークとしている。
著書に『なぜ、川崎モデルは成功したのか?』(実業之日本社)、『なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか』(ダイヤモンド社)など多数。
Facebook:
https://www.facebook.com/kumi.fujisawa.official


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