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社長!事件です イザという時に思考停止しないための「危機管理」鉄則集

サンプル品が社外流出!
外部業者任せの廃棄処分に思わぬ落とし穴
消費者からのクレームが風評被害に発展

小川真人 [ACEコンサルティング株式会社 代表],白井邦芳 [ACEコンサルティング株式会社 エグゼクティブ・アドバイザー]
【第9回】 2010年9月15日
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サンプル品が売られている

 2010年6月某日、X社の営業窓口の担当者Aは、外部からの突然の電話を受けていた。

 「貴社のサンプル品を近くのノミの市で取り扱っているのを見かけた。当社も取り扱いたいのだが、どのようにしたら在庫を融通してもらえるのか?」という内容であった。X社では、美肌液のサンプル品を、少量のパッケージにして販促のために店頭などで頒布しているが、それらは非売品と明示されており、有償で販売することは認めていなかった。

 また、在庫も製造ロット番号単位で管理しており、個別の店頭頒布の機会ごとに出荷して、必ず一定期限までの使い切りとし、未出荷在庫も含めて期限が過ぎれば全て廃棄することとしていた。電話を受けた担当者Aは、「当社では、サンプル品の販売を行うことはない」旨を問い合わせ者に丁寧に伝え、電話を切った。しかし、その際、X社サンプル品が取り扱われていたノミの市の情報や問い合わせ者の連絡先は、聞きそびれてしまった。

 担当者Aは、電話の応対を終えたのち、形式的な社内手続きとして、「見ず知らずの業者から、サンプル品を売ってほしいという電話がありましたが、丁寧にお断りました」と、上司の課長に報告した。課長は、「サンプル品などが流通したら営業妨害になる。管理を徹底しないといけないな」とのコメントを発したが、その話はそれ以上発展することなく、忘れ去られることとなった。

取引先からの苦情

 営業部長Bは、大口取引先Y社からの苦情の電話を受けていた。X社のサンプル品がネットで販売されており、営業の支障となっているという。「なぜ、サンプル品を野放しにするのか?」というクレームであった。「サンプル品がネットで出回っているらしいぞ。どうなっているんだ!」営業部長Bは電話を受けてすぐに、営業課長を呼び出して実態調査を命じると同時に、担当取締役Cを通じて、取締役会にも報告を行った。

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小川真人(おがわまひと) [ACEコンサルティング株式会社 代表]

公認会計士、公認不正検査士、日本法科学技術学会正会員。慶応義塾大学商学部卒業後、1986年、ピートマーウィックミッチェル会計士事務所(現在のKPMGあずさ監査法人)に入所し、会計監査・リスクマネージメント業務に幅広く従事。2003年より2008年まで、(株)KPMG FASにて日本における不正調査サービスの責任者(パートナー)として、不正会計調査、経営者不正調査、従業員不正調査、個人情報流出事件調査など、多様な不正調査やリスクマネージメント業務を提供。2008年4月より、ACEコンサルティングを設立して独立。

白井邦芳(しらい くによし) [ACEコンサルティング株式会社 エグゼクティブ・アドバイザー]

AIU保険会社及びAIGグループ在籍時に数度の米国研修・滞在を経て、企業の危機・不祥事・再生に関するコンサルティングに多数関わる。2350事例にのぼる着手案件数は業界屈指。2009年から現職。リスクマネジメント協会評議員、日本法科学技術学会正会員、経営戦略研究所外部専門委員、著書に「ケーススタディ 企業の危機管理コンサルティング」(中央経済社)等がある。


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海外で発生するテロや暴動そして天災、果ては脅迫から社内の権力闘争の暴露まで。現代の企業はまさにリスク取り囲まれて活動している。ことは生命にかかわることが多いにもかかわらず、依然として、日本企業はこの種のリスクには鈍感。イザというときに、じたばたしないためには、準備こそがすべて。具体的な事例を基に危機管理の鉄則を公開する。

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