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トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ
【第12回】 2016年7月1日
著者・コラム紹介バックナンバー
林要 [GROOVE X代表取締役]

いま注目の「DMM.make AKIBA」潜入リポート
すごいのは10億円の「施設設備」だけではない!

Pepper元開発リーダーが独立の地に「DMM.make AKIBA」を選んだ理由

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感情認識パーソナルロボット「Pepper」元開発リーダーであり、初の著書『ゼロイチ』を上梓した林要さん。昨年ソフトバンクを退職し、ロボット・ベンチャー「GROOVE X」を立ち上げ。そのGROOVE Xが入居しているのが、DMM.make AKIBA。「モノを作りたい人が必要とするすべてを用意している」というこの施設は、いったいどのような場所なのか?林さんとDMM.make AKIBAエヴァンジェリストの岡島さんにご案内いただいた。(構成:崎谷実穂)

秋葉原に生まれた「アメリカ西海岸」のようなオフィス

 JR秋葉原駅から徒歩3分。駅からも見える富士ソフト秋葉原ビルのなかに、モノづくりスタートアップのインキュベーション・オフィス「DMM.meke AKIBA」はある。ソフトバンクを退社した林要さんが起業したロボット・ベンチャー「GROOVE X」が入居していると聞き、お邪魔した。

 DMM.make AKIBAがある富士ソフトビル12階に足を踏み入れると、打ち合わせをする人、作業をする人、談笑する人とたくさんの人で賑わっていた。ここは、「Base」と呼ばれるスペース。シェアオフィスやイベントスペースなど、ビジネスの拠点となる場所である。

DMM.make AKIBAのコミュニティ・スペースである「Base」。開放的なスペースで、打ち合わせや作業を行っている。

 メイソンジャーで飲み物を提供するおしゃれなカフェスペースに、木材を基調としたナチュラルな内装。まるで、アメリカ西海岸のオフィスのような雰囲気がただよっている。

「Base」にはカフェ・スペースも併設されている。

 ふと、カウンターの下にあるゴミ箱に目をやると、「燃える」「燃えない」ではなく、「金属くず」「電子基板」という分類があり、モノづくりスタートアップののインキュベーション施設であることを感じさせる。棚には、ここに入居している企業のプロダクトや、はんだごてなどの電子工作用のツールが置いてあり、ちょっとした電子工作なら、オープンスペースでもできるそうだ。CMやウェブの記事などからDMM.make AKIBAといえば、本格的な工作機械がそろう「Studio」のイメージが強かったため、こうしたコミュニティ・スペースが賑わっていることは意外だった。

 ここで、林要さんとDMM.make AKIBAエヴァンジェリストの岡島康憲さんと合流。

DMM.make AKIBAエヴァンジェリストの岡島康憲さん(右)と、GROOVE Xの林要さん。

 さっそく、おふたりに第一印象を伝えてみると……。

 「たしかにここのスタジオの設備もすばらしいのですが、僕としてはそれに惹かれて集まってくる“人”と、そこで生まれるコミュニティが、ここのバリューだと思っています」(林さん)

 「ハードウェアのスタートアップをやろうとする人たちが求めるものというのは、機材だけではないんですよね。他にもコミュニティや教育、ビジネスなどいくつもあります。それらを包括的に提供できる施設が、DMM.make AKIBAなんです」(岡島さん)

 なるほど。たしかに、入り口には設計・開発、知的財産権など相談会の告知が貼ってある。ここからも、DMM.makeAKIBAが「教育機能」を担っていることが窺える。

「Base」入口には「製品質検証」「事業計画」など各種相談会の案内が掲示。定期的な勉強会・相談会によって、入居企業をサポートしている。

 「スタートアップのチームは、それぞれ得意不得意があります。すべてがそなわっているチームはそんなにありません。ですから、ここでは専門家を招いて、設計・開発、事業計画のつくり方、製品を出荷するときの品質保証についてなど、足りない部分のノウハウを身につけるための相談会を開いています」(岡島さん) 

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林要(はやし・かなめ) [GROOVE X代表取締役]

林 要(はやし・かなめ) 1973 年愛知県生まれ。東京都立科学技術大学(現・首都大学東京)に進学し、航空部で「ものづくり」と「空を飛ぶこと」に魅せられる。当時、躍進めざましいソフトバンクの採用試験を受けるも不採用。 東京都立科学技術大学大学院修士課程修了後トヨタに入社し、同社初のスーパーカー「レクサスLFA」の開発プロジェクトを経て、トヨタF1 の開発スタッフに抜擢され渡欧。「ゼロイチ」のアイデアでチームの入賞に貢献する。帰国後、トヨタ本社で量販車開発のマネジメントを担当した際に、社内の多様な部門間の調整をしながら、プロジェクトを前に進めるリーダーシップの重要性を痛感。そのころスタートした孫正義氏の後継者育成機関である「ソフトバンクアカデミア」に参加し、孫氏自身からリーダーシップをたたき込まれる。 その後、孫氏の「人と心を通わせる人型ロボットを普及させる」という強い信念に共感。2012 年、人型ロボットの市販化というゼロイチに挑戦すべくソフトバンクに入社、開発リーダーとして活躍。開発したPepper は、2015 年6 月に一般発売されると毎月1000 台が即完売する人気を博し、ロボットブームの発端となった。 同年9 月、独立のためにソフトバンクを退社。同年11 月にロボット・ベンチャー「GROOVE X」を設立。新世代の家庭向けロボットを実現するため、新たなゼロイチへの挑戦を開始した。


トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ

「0」から 「1」を生み出す力を日本企業は失っているのではないか? そんな指摘が盛んにされています。一方、多くのビジネスパーソンが、「ゼロイチを実現したい が、どうしたらいいのか?」と悩んでいらっしゃいます。そこで、トヨタで数々のゼロイチにかかわった後、孫正義氏から誘われて「Pepper」の開発リー ダーを務めた林要さんに、『ゼロイチ』という書籍をまとめていただきました。その一部をご紹介しながら、「会社のなかで“新しいコト”を実現するために意 識すべきエッセンス」を考えてまいります。

「トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ」

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