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トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ
【第1回】 2016年5月25日
著者・コラム紹介バックナンバー
林要 [GROOVE X代表取締役]

Pepper元開発リーダーが初めて明かす
会社で「ゼロイチ」を実現する唯一の鉄則
トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法

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「0」から「1」を生み出す力を日本企業は失っているのではないか? そんな指摘が盛んにされています。一方、多くのビジネスパーソンが、「ゼロイチを実現したいが、どうしたらいいのか?」と悩んでいらっしゃいます。そこで、トヨタで数々のゼロイチにかかわった後、孫正義氏から誘われて「Pepper」の開発リーダーを務めた林要さんに、『ゼロイチ』という書籍をまとめていただきました。本連載では、その一部をご紹介しながら、「会社のなかで“新しいコト”を実現するために意識すべきエッセンス」を考えてまいります。

 

「今までになかったモノ」をつくり出したい

 ゼロイチをやりたい──。
 社会に出る以前から、僕はそう思っていました。

 決められたことを延々とこなす仕事ではなく、誰かがつくった「1」を「10」にする仕事でもなく、自分の手で「0」から「1」を生み出すような仕事がしたい。「今までになかったモノ」をつくり出して、世の中を「アッ」と驚かせたい。そんなことを夢見ていたのです。

 もちろん、青二才の単なる妄想。まだ何の実績もないわけですから、自信のもちようもありません。むしろ、そんな妄想とは裏腹に、そもそも自分が社会で役に立てるのかという不安のほうが強かった。記憶力がきわめて悪いこともあり、決してテストは得意ではありませんでしたし、趣味には熱中してきましたが、抜きん出た成功体験があったわけでもありません。しかも、極度の人見知り。会社でうまくやっていけるだろうかと、あれこれ心配したものです。

 あのころから17年。
 そんな僕でも、いくつかのゼロイチにかかわることができました。

 チャンスを与えてくれたのは、トヨタ自動車とソフトバンク。新卒で入ったトヨタでは、入社3年目に同社初のスーパーカー「レクサスLFA」のプロジェクトにたまたまエントリー。それまでの常識を覆すようなチャレンジを成功させることができました。その後、トヨタF1のエンジニアとして渡欧。最速のレーシングカーを生み出すために、ゼロイチのアイデアを形にする経験を積みました。

 帰国後は、量販車の製品企画部に異動となり、チーフエンジニアのもとで開発をマネジメントする仕事を担当。慣れないマネジメントの仕事に当初は苦しみましたが、多くの関係者と力を合わせてプロジェクトを前に進める醍醐味を知ることができました。

 孫正義社長と出会ったのは、ちょうどそのころ。孫社長の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミアに外部生として参加したのです。孫社長のリーダーシップを間近に学び、マネジメントの仕事に活かすことが目的でした。

 ところが、これが転機となりました。
「ウチに来い」と孫社長に声をかけられたのです。「何をするんですか?」と尋ねると、「ロボットだ。人と心を通わせる人型ロボットを普及させる」とおっしゃいます。これ以上のゼロイチはない……。そう思った僕はソフトバンクに転職。世界初の感情認識パーソナルロボット「Pepper」の開発リーダーとして働くチャンスをいただいたのです。

 そして、Pepperが世の中に受け入れられるのを見届けたうえで、2015年9月にソフトバンクを退職。「世界のどこにもない、心を満たしヒトを支えるロボット」という新たなゼロイチにチャレンジすべく、「GROOVE X」というロボット・ベンチャーを起業しました。40歳を過ぎて、残りの人生の過ごし方を考えたとき、このタイミングで一歩を踏み出すことに躊躇はありませんでした。もちろん不安もありますが、志を同じくする仲間たちと充実した毎日を過ごしています。

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キーワード  Pepper
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林要(はやし・かなめ) [GROOVE X代表取締役]

林 要(はやし・かなめ) 1973 年愛知県生まれ。東京都立科学技術大学(現・首都大学東京)に進学し、航空部で「ものづくり」と「空を飛ぶこと」に魅せられる。当時、躍進めざましいソフトバンクの採用試験を受けるも不採用。 東京都立科学技術大学大学院修士課程修了後トヨタに入社し、同社初のスーパーカー「レクサスLFA」の開発プロジェクトを経て、トヨタF1 の開発スタッフに抜擢され渡欧。「ゼロイチ」のアイデアでチームの入賞に貢献する。帰国後、トヨタ本社で量販車開発のマネジメントを担当した際に、社内の多様な部門間の調整をしながら、プロジェクトを前に進めるリーダーシップの重要性を痛感。そのころスタートした孫正義氏の後継者育成機関である「ソフトバンクアカデミア」に参加し、孫氏自身からリーダーシップをたたき込まれる。 その後、孫氏の「人と心を通わせる人型ロボットを普及させる」という強い信念に共感。2012 年、人型ロボットの市販化というゼロイチに挑戦すべくソフトバンクに入社、開発リーダーとして活躍。開発したPepper は、2015 年6 月に一般発売されると毎月1000 台が即完売する人気を博し、ロボットブームの発端となった。 同年9 月、独立のためにソフトバンクを退社。同年11 月にロボット・ベンチャー「GROOVE X」を設立。新世代の家庭向けロボットを実現するため、新たなゼロイチへの挑戦を開始した。


トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ

「0」から 「1」を生み出す力を日本企業は失っているのではないか? そんな指摘が盛んにされています。一方、多くのビジネスパーソンが、「ゼロイチを実現したい が、どうしたらいいのか?」と悩んでいらっしゃいます。そこで、トヨタで数々のゼロイチにかかわった後、孫正義氏から誘われて「Pepper」の開発リー ダーを務めた林要さんに、『ゼロイチ』という書籍をまとめていただきました。その一部をご紹介しながら、「会社のなかで“新しいコト”を実現するために意 識すべきエッセンス」を考えてまいります。

「トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ」

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