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献魂逸滴 極上の日本酒を求めて

日本酒の日を迎えて愛でる
ひと夏寝かせた「ひやおろし」

柳 紀久夫
【第15回】 2010年10月1日
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 10月1日が「日本酒の日」であることをご存知だろうか(ちなみにこの日は、わが国では「国勢調査の日」であり、「都民の日」「法の日」「デザインの日」「磁石の日」「醤油の日」「コーヒーの日」「メガネの日」「補助犬の日」でもあるようだ)。

 酒という字は「酉」(日本では「とり」と読まれるが、元来は壷の形を表す象形文字で「酒」を意味していた)に由来する。古代中国の天文学・暦学から生まれた十二支の一つであり、一年の月を示す記号の10番目に当たる。

 加えて、1965年以前の酒造年度は「10月1日~」と定められていた(現在は「7月1日~」)ことから、日本酒造組合中央会は1978年に同日を「日本酒の日」と制定したのである。

 若い世代の日本酒離れを阻止するためとはいえ、無理矢理こじ付けた感がなくもない。それでも、10月は収穫されたばかりの新米を使って新酒が仕込まれる時期でもあり、わけても酒との相性が抜群の旬を迎えた山海の幸が日本各地に豊富に流通する月であることから、タイミング的には申し分ないといえるだろう。

“秋の酒”なのに亜熱帯化進む
猛暑下に登場するという不可解

 味覚の秋、食欲の秋……、中年メタボには悩ましい、馬肥ゆる季節の到来である。

 秋酒の代名詞ともいうべき「ひやおろし」とは、春先に搾った新酒を加熱(殺菌)処理してタンクに貯蔵、夏のあいだをひんやりした酒蔵の中でゆっくり熟成させて飲み頃を迎えた酒を、蔵の中と外気温が同じくらいになった頃に2度目の加熱処理をせずに瓶詰めして出荷する酒をいう。

 「ひやおろし」の語源はその昔、2度目の火入れを行なわずに「冷や」のままで貯蔵用の大桶から出荷用の木樽へと「卸し(移し)」て出荷したことから「冷卸(ひやおろし)」と呼ばれた。

 その一方で、春・夏を越して熟成のピークを迎える秋口に味が乗ってくる酒に「秋あがり」という名称を用いる蔵は少なくない。「ひやおろし」もまた「秋あがり」の一種なのだが、「秋あがり」がすべて「ひやおろし」というわけではない。

 というのも「ひやおろし」と銘打つ以上、加熱処理は1回にとどめなければならないのだが、「秋あがり」は火入れを2回しても構わないからだ。

 含蓄のない薀蓄もどきが続いてしまうが、もう少しお付き合い願いたい。

 じつは、日本酒の知名度アップ並びに需要の拡大に向けて、「ひやおろし」の発売日を業界全体で統一しようという動きがある。

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柳 紀久夫

1956年、東京・神田に生まれる。元「週刊ダイヤモンド」編集委員。大学在学中に日本酒に開眼。以来、酒屋放浪では飽き足らず、日本酒を媒介にしたネットワーク作りや日本酒イベントの発起、取材に便乗しての全国地酒探訪に注力。週末はひたすら極上の日本酒を求めて各地の酒販店・酒蔵を巡る。


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