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上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

惨敗民進党が歩む「万年野党への道」

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第136回】 2016年7月19日
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 参院選で、安倍晋三首相率いる自民党が122議席(追加公認を含む)を獲得した。27年ぶりに単独過半数を達成した上に、連立与党の公明党、改憲に前向きなおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の3党を合わせた「改憲勢力4党」の議席数が、改憲の発議に必要な「全議席の3分の2」を超えた。首相は、文句なしに国政選挙4連勝を果たした。

参院選で野党共闘が
「惨敗」したのは明らかだ

 一方、民進党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちの野党4党は、「改憲4党による3分の2確保の阻止」という最低限の目標を達成できなかった。惨敗だったことは明らかだ。

 確かに、4党の統一候補は一人区で11議席を獲得した。前回参院選の2議席よりは議席数を増やしてはいる。筆者も、「共産党の政策を支持すれば、小選挙区での立候補を取り下げて、他の野党の候補者に共産党の支持票を提供する」という「野党共闘」の戦略が合理的であることは認めてきた(第132回・p4)。だから、共闘した分、前回より善戦したということに驚きはない。

 しかし、野党共闘は安倍政権への批判が強い福島、沖縄、岩手などで強かっただけだ。民進党のみならず、躍進が予想された共産党までもが、西日本の選挙区や比例区で全く振るわなかった。これで「野党共闘が成果を挙げた」というのは、強弁に過ぎないように思う。

 この連載では、「野党は参院選で壊滅的惨敗を喫することになる」と主張してきた(第122回)。国会の外では、「戦争法案反対」「立憲主義を守れ」などという声が大きく聞こえたが、民進党が共産党と近づけば、日本のサイレントマジョリティであるサラリーマンなどの「中流」(第115回・下・p3)の支持を得られなくなるのは明らかだった。今回の野党の惨敗には、全く驚きがない。

 むしろ、あまりに簡単に「負けるべくして負けた」ことに、呆れ返ってしまう。それは、岡田代表が、2015年1月の民主党(当時)代表への復帰後、感情的になり理性を失うことで、自らが長年守ってきた政治家としての信条まで忘れてしまい、何度も代表としての判断を誤ってしまったためだ。

安保法制で「感情的」になった岡田代表は
過去の経験を忘れ去ってしまった

 この連載では、正直な話、岡田代表に期待していた。それは、「人生、二度目の挑戦はうまくいくもの」と考えてきたからだ。二度目の挑戦では、一度目の経験から学ぶことができ、失敗を回避することができるからだ(第98回)。岡田代表も、前回民主党代表を務めた時には見えてなかったものが見えているはずだ。様々な難局に対して、経験を生かして適切な手を打てるはずだと思った。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。

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