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吉田恒のデータが語る為替の法則

信用不安強いユーロは買われ過ぎ懸念。
「上がり過ぎ」修正で1.3ドル割れへ向かう!

吉田 恒
【第100回】 2010年10月6日
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 11月に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)での追加金融緩和の観測などを受けて、ここまで米ドル安が続いてきました。

 ただ、対ユーロではこれが当面の「最後の米ドル安」となり、対円でもこのまま80円を目指すのではなく、いったん米ドル安が止まるのではないでしょうか?

「売られ過ぎ」気味になってきた米ドル

 冒頭のように考える理由の1つは、米ドルが「売られ過ぎ」気味になってきたということです。

 CFTC(米商品先物取引委員会)統計で米ドルのポジション(非米ドル主要5通貨=日本円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、加ドルのポジションをもとに推計)を調べたところ、ネット・ショート(売り持ち)が9月末時点で10万枚以上に拡大していました。

 米ドルのネット・ショートは、過去には15~20万枚まで拡大したこともありました。しかし、2008年以降は、10万枚を超えるとその3週間以内には拡大が一巡しています。

 その意味では、控え目に考えても、米ドルは「売られ過ぎ」気味になっていて、ここ数年のパターンからすると、米ドル売り一巡が近づきつつあると言えそうです。

 さて、その米ドル売り一巡のタイミングですが、基本的には対ユーロでの米ドル安一巡のタイミングとほぼ一致してきました。

 したがって、米ドル売り一巡が近いということは、この間に続いてきた「米ドル安・ユーロ高」の一巡も近いということになるわけです。

欧州の信用不安と強い相関関係を続けてきたユーロ

 前回のコラムでも書きましたが、私は「米ドル安・ユーロ高」自体がかなり「行き過ぎ」懸念を強める結果になっていると思います(「信用不安再燃でも上昇続けるユーロだが、『戻り過ぎ』で反発は1.35~1.4ドルまでか?」を参照)。

 少し大胆な言い方になるかもしれませんが、本来的には1.3ドルを超える現在のユーロ高は「過大評価」されているとさえ思っています。

 ユーロは8月まで、ギリシャに端を発した欧州財政懸念に伴う「ユーロ危機」の流れを受け、欧州の信用不安と強い相関関係を続けてきました。

 具体的に見ていくと、欧州の信用リスクを示す指標の1つである「欧州CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)指数」のこの間の悪化のピークは6月上旬で、改善のピークは8月上旬でした。これに対して、ユーロは6月上旬に1.18ドルまで売られ、8月上旬には1.33ドルまで買われていました。

 つまり、「欧州CDS指数」のピークと、対米ドルでのユーロの安値・高値がほぼ一致していたのです。

1.3ドル超は、ユーロが過大に評価されている!

 その「欧州CDS指数」は10月4日(月)現在、110ポイント程度で推移しています。

 これは、8月上旬よりも欧州の信用リスクが悪化していることを示しているわけですが、その割りに、ユーロは一時1.38ドルレベルまで買われています。

 ちなみに、同じように「欧州CDS指数」が110ポイント前後で推移していたのは、直近では9月初めのことでした。そのときのユーロ相場は1.3ドルを下回っていました。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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