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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

独バイエルから汎用素材事業で分離独立したコベストロ社の勝算

フランク・H・ルッツ コベストロ最高財務責任者インタビュー

週刊ダイヤモンド編集部
2016年7月27日
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昨年9月、医薬・農薬大手の独バイエルから素材科学事業が分離し、別会社として業務を開始した。その名もコベストロ。今はまだバイエルから64%出資を受けているものの、将来的には完全独立する予定だ。そんなコベストロの最高財務責任者(CFO)、フランク・H・ルッツ氏に、分離前後で変わったことや、自動車のシートなどになるポリウレタン原料や、DVDの材料などとして使われるポリカーボネートといった汎用品の事業分野で勝ち残るための戦略を聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

――昨年9月に医薬・農薬大手の独バイエルから素材科学会社として分離しました。分離前後で意思決定の仕方など、経営にはどのような変化がありましたか。

フランク・H・ルッツ
1968年、独シュトゥットガルト生まれ。スイスのサンガレン大学で経済学、経営学を学ぶ。ゴールドマン・サックス社、ドイツ銀行を経て自動車・機械メーカーの独MAN社CFO、小売り業の独アルディ・ズードグループのCFOなどを歴任。2014年にドイツのバイエル マテリアルサイエンス(現コベストロ社)に入社、CFO就任。 Photo by Toshiaki Usami

 バイエルという非常に大きな企業体の一部門であったころと比べて、柔軟性が高まり、意思決定のスピードも格段に上がりました。わが社の製品、製造工程、社員にまつわる決定だけをすればよくなったので、その違いは当然だと思います。

 以前は、いわば大きな家族の一員だったわけです。家族で暮らす以上は、常に家族の構成員、全員に配慮しながら意思決定をしなければならない。だから、意思決定をするのにちょっと時間がかかることがあったと思います。

 一つ事例を挙げますと、私どもは2015年9月1日に分離した数週間後に17年末をもってスペインにあるタラゴナ工場を閉鎖するという意思決定をしたのですが、実はタラゴナの工場閉鎖は私どもとしては長年にわたって考えていたことでした。期待通りのコストレベルで運営できないからです。ところが、このタラゴナという生産拠点は、素材科学以外の部門の大きな生産も担っていたので、バイエル全体にとっては重要な拠点だった。そのため、なかなか閉鎖の許可が出なかったと。分離して数週間後に閉鎖を決めることができたのは、それだけ意思決定がスピードアップできたということだと思います。

3つの経営指標を重視

――バイエルから分離して、重要視する経営指標も変わりましたか?

 バイエルの一部門だったとき重要視された経営指標は、キャッシュフローとROI(投資収益率)でした。バイエルという会社には大きくヘルスケア、農業関連、素材科学の3部門があって、そのどこにどれだけ投資を振り分けようかということを常に考えていなければならなかったわけですから、これは理にかなった指標だといえます。

 コベストロとして分離してからは、3つの経営指標を重視するようになりました。1つ目はコアボリュームの伸び(主要製品の販売量の増加)です。なぜコアボリュームに焦点を当てているかといいますと、ボリュームを増やすだけの十分な生産能力を持っている、というのが一つですね。重視するのが売り上げでないのは、売り上げというのが原材料価格など、さまざまな事柄によって影響を受け、変動するからです。

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