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世界のエリートがやっている 最高の休息法
【第7回】 2016年8月8日
著者・コラム紹介バックナンバー
久賀谷 亮

自分を操る集中力は「脳の休ませ方」しだい
ここ15年で100倍以上に増えた「休息法」研究論文

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「どれだけ休んでも疲れが取れないのは、あなたの脳が疲れているからでは?」――イェール大で学び、アメリカで開業した精神科医・久賀谷亮氏の最新刊『世界のエリートがやっている 最高の休息法』がついに発売された。
最先端の脳科学研究で見えてきた「科学的に正しい脳の休め方」とは?同書の中からストーリー形式で紹介する。

▼ストーリーの「背景」について▼
もっと知りたい方はまずこちらから…
【第1回】「何もしない」でも「脳疲労」は消えずに残る
―あんなに休んだのに…朝からアタマが重い理由
http://diamond.jp/articles/-/96908

【第2回】脳が疲れやすい人に共通する「休み=充電」の思い込み
―「疲れ→回復→疲れ…」のスパイラルから抜け出すには?
http://diamond.jp/articles/-/96965

【前回までのあらすじ】脳科学を志して米イェール大学に渡ったナツ(小川夏帆)は、諸事情により伯父が営むベーグル店〈モーメント〉を手伝うことになる。脳の疲れを抱えた同店を再建するべく、ヨーダにそっくりな外見のイェール大教授(ラルフ・グローブ)にアドバイスを求める。ヨーダが語ったのは、科学的な研究が進む「最高の休息法=マインドフルネス」だった。「マインドフルネスは脳の活動に影響するだけでなく、脳の構造そのものを変えるほどの力を持っている」――ヨーダはそんな驚くべき事実を語りはじめる。

疲労が溜まりづらい脳は
自分でつくることができる

久賀谷 亮
Akira Kugaya, PhD/MD
医師(日・米医師免許)/医学博士
イェール大学医学部精神神経学科卒業。アメリカ神経精神医学会認定医。アメリカ精神医学会会員。
日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。そのほか、ロングビーチ・メンタルクリニック常勤医、ハーバーUCLA非常勤医など。
2010年、ロサンゼルスにて「TransHope Medical」を開業。同院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、最先端の治療を取り入れた診療を展開中。臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ。
脳科学や薬物療法の研究分野では、2年連続で「Lustman Award」(イェール大学精神医学関連の学術賞)、「NARSAD Young Investigator Grant」(神経生物学の優秀若手研究者向け賞)を受賞。主著・共著合わせて50以上の論文があるほか、学会発表も多数。趣味はトライアスロン。

ヨーダはにやりと笑うと、講義を続けた。

 「マインドフルネスの父とも言われるジョン・カバットジンの名前は知っておるかな?マサチューセッツ大学のカバット=ジンは、従来の認知療法に瞑想を組み込んだマインドフルネス・ストレス低減法(MBSR: Mindfulness-based Stress Reduction)という独自の方法を構築した人物じゃ。

彼らのグループによる2005年、2011年の研究によれば、MBSRを8週間にわたって実践したところ、大脳皮質(脳の表層の最も進化した部分)の厚さが増したという[*1]。要するに、脳の機能が高まったということじゃな。

そのほか、老化による脳の萎縮に対しても効果があったという報告もある[*2]。また別の研究では、左海馬、後帯状皮質、小脳で灰白質の密度増加が見られたというから、とくに記憶に関連する脳部位が強化される可能性もあるな[*3]。

容積の変化だけではないぞ。ブリューアーが言うように、脳の各部位のつながりも、マインドフルネスは変化させるんじゃ。経験のある瞑想者では後帯状皮質と背側前帯状皮質あるいは背外側前頭前野の連結が増しておったというからな。

つまり、瞑想を継続的に行うことで、脳エネルギーの浪費家『DMN』の活動をコントロールできるようになるわけじゃ。となると、誰にでもさまよわない心、疲れづらい脳をつくることは可能じゃと考えられる」

脳が絶えず自らを変化させるということ、いわゆる脳の可塑性については以前から明らかになっている。もしも今後の研究が進めば、マインドフルネスは人間が自分の脳を自由に変化させるための有効な手段になっていくだろう。

*1 Lazar, Sara W., et al. “Meditation experience is associated with increased cortical thickness.” Neuroreport 16.17 (2005): 1893.
 Hölzel, Britta K., et al. “Mindfulness practice leads to increases in regional brain gray matter density.” Psychiatry Research: Neuroimaging 191.1 (2011): 36-43.
*2 Lazar, Sara W., et al. “Meditation experience is associated with increased cortical thickness.” Neuroreport 16.17 (2005): 1893.
*3 Hölzel, Britta K., et al. “Mindfulness practice leads to increases in regional brain gray matter density.” Psychiatry Research: Neuroimaging 191.1 (2011): 36-43.

 「……にわかには信じ難いですが、本当だとしたらすごい話ですね」

 「うむ、そうなんじゃ。アメリカ国立衛生研究所のデータベースによると、マインドフルネスに関する論文数は、ここ15年で100倍以上に増えておる。ただ、ここで注意が必要なのは、初期の報告に対しては一定の批判があることじゃな。効果判定のための研究デザインや比較対照群の決め方に弱さがあり、一部の研究の質には疑問が投げかけられとるんじゃ。

ただ、10年にわたる21の研究をメタ解析した研究成果も出はじめておる。それによると、マインドフルネスはだいたい8つの領域で脳構造に影響を及ぼすということがわかってきた。前頭極(メタ意識)、感覚野と島(身体感覚への気づき)、海馬(記憶)、前帯状皮質、眼窩前頭皮質(自己や感情の調整)、上縦束と脳梁(左右の大脳半球の交通を担う)……こういう部位に統計的に有意な構造変化(容積、密度などの)が見られたんじゃ[*4]」

*4 Fox, Kieran CR, et al. “Is meditation associated with altered brain structure? A systematic review and meta-analysis of morphometric neuroimaging in meditation practitioners.” Neuroscience & Biobehavioral Reviews 43 (2014): 48-73.
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久賀谷 亮(くがや・あきら)

医師(日・米医師免許)/医学博士
イェール大学医学部精神神経科卒業。
アメリカ神経精神医学会認定医。アメリカ精神医学会会員。
日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、
イェール大学で先端脳科学研究に携わり、
臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。
そのほか、ロングビーチ・メンタルクリニック常勤医、ハーバーUCLA非常勤医など。

2010年、ロサンゼルスにて「TransHope Medical」を開業。
同院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、
最先端の治療を取り入れた診療を展開中。
臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ。

脳科学や薬物療法の研究分野では、
2年連続で「Lustman Award」(イェール大学精神医学関連の学術賞)、
「NARSAD Young Investigator Grant」(神経生物学の優秀若手研究者向け賞)を受賞。
主著・共著合わせて50以上の論文があるほか、学会発表も多数。趣味はトライアスロン。


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イェール大で学び、米国で18年診療してきた精神科医が明かす、科学的に正しい「脳の休め方」とは? 脳の消費エネルギーの60〜80%は、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)に使われています。これは、脳が意識的な活動をしていないアイドリング状態でも動いている脳回路。この回路が働き続ける限り、ぼーっとしていても、脳はどんどん疲れていくわけです。つまり、DMNの活動を抑える脳構造をつくり、脳にたしかな休息をもたらすことこそが、あなたの集中力やパフォーマンスを高める最短ルートなのです。

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