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金融市場異論百出

日銀・包括緩和策で対処不能
カギはアニマルスピリッツ

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2010年10月14日
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 日銀は10月5日に「包括緩和策」を決定した。ゼロ金利、インフレ目標的な時間軸政策、国債・ETF・J‐REITなどの買い入れ、というように、日銀が従来いやがっていた政策が、ずらりと並ぶ(ただし、ゼロ金利といっても、当面は0.07~0.09%のあいだで推移することが多いだろう)。

 閣僚から日銀法改正を望む見解が出ているなか、日銀は政治的プレッシャーをそうとう強く意識したものと思われる。外国為替市場介入を頻繁に行いにくい雰囲気も、日銀への圧力を高める要因になっているだろう。米ピーターソン国際研究所のバーグステンは、4日のフィナンシャル・タイムズ紙で、「火には火を。中国や日本がドル買い介入を行って自国通貨をアンダーバリューに維持するなら、米国は同額のドル売り介入を行うべきだ」と過激に主張している。

 とはいえ、日銀の金融政策で対処できることはしょせんは限られている。6日のウォールストリート・ジャーナル紙の社説は指摘していた。「ゼロ金利への復帰は、貸し手と借り手に実際上はほとんど変化を起こさないだろう。この国ではどんな金利でも資金に対する借り入れ需要が出てこない。企業のネットの貯蓄はGDP比7%超もあり、半分の企業が負債を持っていない」「政策決定者は、マネーの量は、インフレやデフレを決める方程式の半分であることを思い出す必要がある。残りの半分は信用乗数である。別の表現でいうなら、それはアニマルスピリッツだ。それは政治の領域である」。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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