教育大国、IT大国として知られるフィンランドでは、今年から小学校の義務教育課程に「プログラミング」が加わった。世界中の若い女性にプログラミングの基礎を教える団体「Rails Girls(レイルズ・ガールズ)」を創設であり、このほど日本で、子供がプログラミングを学ぶ際の糸口となる絵本『ルビィのぼうけん』(翔泳社)を刊行したフィンランド出身のプログラマー、リンダ・リウカスさんに話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集長 深澤 献)
──今回、日本で出版された『ルビィのぼうけん』は、プログラミングの概念を伝えることを目的とした絵本です。コンピュータプログラミングの世界を伝えるために、本というメディアを使用した理由はなんですか。
フォンランド・ヘルシンキ出身のプログラマー、作家、イラストレーター。『ルビィのぼうけん(Hello Ruby)』はクラウドファンディングのKickstarterで出版資金を募り、発表から3時間強で目標の1万ドルを達成した。世界中で、若い女性にプログラミングの基礎を教えるワーククショップを主催する「レイルズ・ガールズ(Rails Girls)」の創立者でもある。Photo by Ken Fukasawa
確かに、例えば「Scratch(スクラッチ)」といった、子供向けにオンラインでプログラミングを学べるような仕組みはすでにあります。
でも、今までプログラミングと物語を組み合わせるという発想は誰もしてきませんでした。
私自身振り返ってみると、子供のころに世の中を知る方法というと、本でした。本を通じて世の中のことを学んだと思います。今の子供たちの生活を見ていると、一日のあいだにスマホやテレビなどスクリーンにへばりついている時間が非常に多いですよね。なので、本というメディアで、子供が親近感を覚えられるようなキャラクターを使っていこうと考えました。
また、プログラミングという実際の技術を子供が学ぶ前に、プログラミングの基礎として「プログラミング思考」を学ぶことが大事だと思いました。プログラミングと聞くと、ちょっと近寄りがたくハードルが高そうに思えますが、プログラミング思考という入り口から入ることで、徐々に近づけると思ったんです。
──プログラミング思考というのは、具体的にはどういうものですか。
例えば、絵本の中では、主人公のルビィにお父さんが「学校に遅れるから早く着替えなさい」と言います。ところが、具体的な指示として「パジャマを脱いで、洋服を着なさい」と言わなかったものだから、ルビィはパジャマの上に洋服を着てしまうんです。