ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
岸博幸のクリエイティブ国富論

「大人、もっと頑張れ!」
中学1年生作家とNYタイムズに見抜かれた
“デフレ日本”に巣食う大人たちの甘え

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第111回】 2010年10月22日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 先週のニューヨーク(NY)タイムズに、日本に関するショッキングな記事が出ていました。「The Great Deflation:Japan Goes From Dynamic to Disheartened(長いデフレ:日本のダイナミックから落胆への転落)」というタイトルの記事なのですが、この記事を元に、デフレのもたらす問題について考えてみたいと思います。

デフレによる社会の劣化

 この記事では、長引くデフレが日本の経済面のみならず社会面にも悪影響を及ぼしているという事実が客観的に書かれています。非常に長い記事なのですが、正鵠を射ていると思うので、以下に記事の要点だけあげます。

●1980年代の日本はアジアを代表する国だったのに、今や低成長とデフレに喘いでいる。20年で経済状況がここまで悪化してしまった国は、近年では日本しかない。

●過剰債務の解消に苦しむ米国も日本と同じ途を辿るのだろうか。多くのエコノミストは否定的だが、デフレの罠にはまって“日本化”(Japanification)してしまう危険性を指摘する声もある。

●デフレは日本人に悲観論、運命論、将来期待の低下といった文化を刷り込んでしまった。最大のインパクトは自信の喪失である。20年前のような野心はなくなり、疲労、将来不安、重苦しいあきらめの雰囲気が充満している。

●昨年の政権交代など、日本もようやく危機に目覚めつつあるが、手遅れかもしれない。良い時代を知らず、仕事の安定や生活水準の向上といった、かつては当たり前だった価値観をあきらめた若者世代を作り出してしまったからである。生活水準が徐々に低下する中で、若者の間では倹約が当たり前となり、若い男子は草食動物と言われたりもする。

●世界が日本から学ぶべき教訓は、デフレが長引くと、かつて繁栄しダイナミックであった国も、深刻な社会的・文化的な退潮に陥るということである。今や日本人は将来に悲観し、リスクを取ることを恐れ、消費や投資にも後ろ向きになってしまった。

●デフレは資本主義経済に必要なリスクテイクの精神を破壊し、“創造的破壊”の代わりに“破壊的破壊”を台頭させてしまった。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


岸博幸のクリエイティブ国富論

メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

「岸博幸のクリエイティブ国富論」

⇒バックナンバー一覧