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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

松翁軒・山口喜三社長インタビュー
規模を追わず手作りにこだわり続ける
創業330年、長崎カステラの老舗

週刊ダイヤモンド編集部
2010年10月27日
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長崎カステラの「松翁軒」は、徳川将軍綱吉の時代からカステラを焼いていた老舗中の老舗。文明堂、福砂屋と共に「長崎の3大カステラ」と称されるが、全国区の知名度を持つ2店と違い、九州以外に店舗を持たないこともあり、知る人ぞ知る存在だ。お取り寄せブランドとして多くのファンを持つ松翁軒の11代目当主が、長崎カステラへのこだわりを語った。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」副編集長 深澤 献)

山口喜三(やまぐち・きぞう)/天保元年(1681年)創業の長崎カステラの老舗「松翁軒」10代目当主・山口貞一郎の長男として1982年長崎市に生まれる。85年に立教大学経済学部卒業後、東京と千葉での菓子職人修業を経て、91年より松翁軒に入りカステラを焼き始める。2009年に社長就任、11代目当主となる。

──天保元年(1681年)の創業以来330年の歴史を持つ老舗カステラ店の11代目。やはり子供の頃からカステラの焼き方を叩き込まれたりしたものなのですか。

 大学の経済学部を卒業して、東京と千葉の和菓子屋さんで都合5年ほど修業をしましたが、それまではお菓子などまるで作ったことはありませんでした。わが家の食卓のための卵や砂糖をもらいに工場までお使いに行ったりはしていましたし、大学時代は帰省したときに荷物を運んだり配達の手伝いはしたことはあります。でも、子供の頃に手伝った記憶はありませんね。いま考えれば、衛生的な問題もあり、売り物に触らせることなど当然ないわけです。

 そもそもうちのカステラは全部手で作るんです。機械化はしていないので、職人が朝から夜まで粛々とオーブンに向かって作業している。皆こちらに背中を向けていて、子供ながら声はかけづらかったですね。

──“門前の小僧”よろしく、自然と手順を覚えるという感じはなかったんですね。

 2歳下の妹と5歳下の弟がいますが、長男だから、高校、大学を出ればいずれはお菓子屋になるものと刷り込まれてはいました。

 和菓子屋での修業を経て、長崎に帰ったのは1991年。地方博が盛んな頃で、長崎も忙しくて、私もカステラを焼くことになりました。といっても、まったくわからないから、作業のあいだに入れ込んでもらって手伝うことから始めました。

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