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なぜか不思議と部下がついてくる上司のルール
【第6回】 2016年8月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
寺松 輝彦

なぜ帝国ホテルのサービスの教訓は
「100マイナス1はゼロ」なのか?

部下に技術指導だけをしても結果は出ない。元プロ野球監督の野村克也氏は、「技術の前に人間を磨け」と、常に選手に言っていたように、技術を指導する前に「高い価値観」を示す必要がある。

安全運転講習をしたのに、飲酒運転をしてしまった部下がいる。
原因は人間教育が欠けていたことにあった。上司は「高い価値観」を示す必要がある。

 今回はどの企業も力を入れている技術教育についてです。「しっかり技術を教えているはずなのに効果が上がらない」という悩みを多く聞きます。技術教育の効果を上げている上司の指導法は、何が違うのでしょうか。

 あるバス会社は運転手に安全運転の技術講習をしっかり行っていました。しかし運転手が業務中に飲酒運転をして問題になりました。

 これを極端な例と考えたらいけません。人間教育を忘れると起きてきます。どんな技術も人が活用するのです。正しく技術を使えば人の役に立ちますが、悪く使えば人に害をなします。

  プロ野球で名監督だった野村克也氏は、「技術の前に人間を磨け」と、常に選手に言っていたそうです。スポーツの才能に恵まれていても、私生活が乱れギャンブルや薬物に手を出して身を持ち崩す有名選手がいます。心の弱さで悪い誘惑に負けるからです。

 人間を磨くとはどういうことでしょうか。野村氏によれば、高い価値観を学ぶことだそうです。人生の教えのエキスを学べとも言っています。

 練習を嫌々やるか、喜んでやるかは、その人の価値観によるというのです。高い価値観を学び意識の高い選手は、言われたこと以上の工夫と数量の練習をするそうです。

 低い価値観で意識の低い選手は、コーチからやりなさいと言われた練習や方法もあれこれ言い訳してきちんとやりません。やったとしても言われた数だけ練習したらさっさと遊びに出かけるそうです。

 選び抜かれたプロの世界でも意識の差があるぐらいですから、このことに我々はもっと気をつけなければなりません。

 飲酒運転を犯した運転手はどうすれば安全運転ができるかは充分に分かっていたと思います。しかしルーズな性格で酒を飲んで勤務してしまったのでしょう。このようなことをしてしまったのは、運転手の意識が低かったからです。

 「質の悪い運転手を採用したからだ」という人もいるでしょう。もちろん採用に注意を払うことも大事ですが、それにも限界があります。

 朱に交われば赤くなる。

 この諺は、職場のメンバーの意識が低ければ優良な運転手も悪く染まることがあることを意味しています。

技術教育の効果をあげる
上司が大事にする価値観とは?

 だからこそ、上司が示すべきことで、忘れてならないのは「高い価値観」です。

 帝国ホテルでは、「100マイナス1はゼロ」と、サービスの教訓を示しています。ふつうの計算では、100マイナス1は99です。しかし、「ちょっとできていなくても99%できていればいいじゃないか」という判断は低い価値観であり、これを放置しておくと低い意識で、手抜きの仕事に取り組むことになります。

 サービスにおいては、100のうち1つでもできていなければ信用はゼロになるという判断こそが高い価値観なのです。

 高い価値観を示すことは人間教育になります。
 一回言えば分かるというものではありません。繰り返し言ってください。分かるようになるまで、できるようになるまで、自分からすすんで行動できるまで高い価値観を説き示してください。

仏作って魂入れず。

この諺は、技術だけ教えて心の教育を怠ってはいけないことを教えています。部下の低い意識がないかに目を光らせて、高い価値観を示し続けましょう。

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