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週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記
【特別連載 第8回】 2016年9月14日
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馬場未織

「週末の田舎暮らし」に、
高速道路での往復はアリかナシか?

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平日は都会で働き、週末は田舎で過ごす。東京生まれ、会社勤め、共働き、こども3人。「田舎素人」の一家が始めた「二地域居住」。実際のところ、都会と田舎の往復にはお金がかかる。だが、その往復に毎週、高額な高速道路を使うことは本当に無謀なのだろうか?今注目を集める田舎暮らしの実践記『週末は田舎暮らし』から、一部を抜粋して紹介する。

◆これまでのあらすじ◆
東京生まれ、会社勤め、共働き、こども3人。平日は都会暮らしだが、週末に田舎に移動する「二地域居住」。そんな暮らしに憧れる一家は、物件探しを始める。たくさんの不動産をめぐり、理想に近い物件を見つけた一家。だがその矢先、物件は他の人に買われてしまう。一家はこのショックから立ち直り、もう一度運命の土地にめぐり合えるのだろうか……。

アクアラインを渡る決意

 わたしたちは、しばらく失意でぼんやりしていました。毎週末のように第三京浜や東名高速にのって神奈川方面をアグレッシブに探しまわっていた、あのときの気力はすっかり失せてしまいました。もうこのままフェイドアウトか、と思うほど。

 長いこと付き合ってそろそろヤバい歳だし結婚しよう!と思ったら相手から「ごめん、別れてほしい。実は好きな人がいる」と言われたくらいの落ち込みだったと思います。たぶん。

 あの土地、良かったよねえとため息まじりにぼやき、何度も見て物件のラインナップも覚えてしまった田舎暮らし物件サイトをだらだら眺めて、あーもーあんな土地ないよねえとヤケ酒をあおって寝てしまう日々。情けないものです。

 それでも、人間、時間がたてば傷も癒えるもの。再び懲りずに頑張って探そうという気持ちになり、ひとつ、方向転換に踏み切りました。超高級高速道路「アクアライン」で、千葉方面に渡ることにしたのです。

 今でこそ森田健作知事によってアクアライン通行料はぐっと値下がりしましたが、当時は普通車片道3000円というべらぼうな値段。まるで「よほどのことがない限り利用禁止」と言われているようで、ムダムダNGと、はなから撥ねつけていました。

 そんな意識が変わったのは、ふとしたきっかけで千葉県の田舎暮らしサイトを検索したときでした。これまで見たこともなかった広い土地、菜園付き住宅、格安物件が、ざくざく出てきたのです。それまで検討していた神奈川方面のラインナップとは明らかに違いますし、数の多さや広告の謳い文句などから「田舎暮らしを検討する人は世の中にたくさんいるんだな」と気づかされました。

 「いいぞ房総。今までアクアラインで引っかかって見ようとしなかった俺らは愚かだったな。しかもこれだけ土地の価格が違うと、あれだな、アクアラインを使ってでも千葉方面で探した方が得だぞ、たぶん」と、夫がいそいそと鉛筆と紙きれを持ってきました。

〈試算〉
アクアラインの往復は、3000円×2通行=6000円。
毎週末房総に通うとしたら、年間で、365日÷7=約52回。
つまり年間で、6000円×52回=31.2万円かかるってわけ。
で、神奈川で坪単価10万円の土地を500坪買うと、5000万円。
一方で、千葉に坪単価5万円の土地を500坪買うと、2500万円。
差額が、2500万円。
この差額で何年分アクアラインが使えるかというと、
2500万円÷31.2万円=約80年。
自分たちの寿命が90だとしても、あと50年やそこらだから、房総に土地を買えば、一生、毎週末アクアラインを使ってアクセスしてもお釣りがくる。
……よって、房総に土地を買うことは、現実的である。以上。

 「5000万円なんて出せないけど、ともかく!アクアライン費を惜しんで宝の山を見に行かないのはナンセンスだ。しかも高速代が高きゃ渋滞しない。さらにどうだ、ETCを付けると、通行料が2320円まで割り引かれるらしいぞ(当時価格)」

 そうと決まれば一気に気分は切り替わります。すぐさまETCを装着し、東京湾上を颯爽と駆け抜けて房総半島へ!

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馬場未織 

 

1973年東京都生まれ。1996年日本女子大学卒業、1998年同大学大学院修了後、建築設計事務所勤務を経て建築ライターへ。プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約200往復する暮らしの中で、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、東京に野菜の美味しさを届ける「洗足カフェ」(目黒区)、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営などを手掛ける。

 


週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記

山崎亮氏推薦!「すごくアナログだけど、とても未来的な生活だ。」東京生まれ、会社勤め、共働き、子供3人。「田舎素人」の一家が、都会と里山の往復生活を通して、手さぐり体当たりで見つけたこれからの豊かで新しい暮らし方。土地探しから地域との関わり方、家庭菜園まで、等身大のデュアルライフ入門。

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