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週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記
【特別連載 第5回】 2016年9月7日
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馬場未織

フェラーリと田舎暮らし、
どっちに投資する方が納得感が高いか?

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平日は都会で働き、週末は田舎で過ごす「二地域居住」という新しい暮らし方。東京生まれ、会社勤め、共働き、こども3人。およそフットワークが軽いとはいえない一家のドタバタ奮闘記。高級外車と田舎のセカンドハウス、どっちに投資した方が豊かさを実感できるのか?今、大きな注目を集める『週末は田舎暮らし』から、一部を抜粋して紹介する。

◆これまでのあらすじ◆
東京生まれ、会社勤め、共働きのある夫婦の間に、ひとりの男の子が生まれる。彼らはこどもと真剣に向き合いながら、自然の少ない都会で育てることに疑問を感じ始めていた。息子を思いっきり遊ばせられる田舎はないだろうか、いや、田舎をつくれないだろうか……。

田舎にも家を持つことのリアリティ

 その後、ニイニの下に長女のポチンが生まれたころから、「東京に暮らすだけでいいのかなあ」「田舎が欲しいなあ」という思いに拍車がかかり、この妄想が夜の晩酌の肴になるようになりました。

 夫婦そろって両親とも東京にいるため、夏休みに帰省する田舎というものもない中、週末ごとにこどもたちを「どこの自然で」遊ばせるかに悩みながら出かける日々は続いていました。

 ただ、田舎が欲しい、自然の中で子育てしたい、と話しはするものの「では、さっそく田舎に引っ越しましょう!」とヒラリ生き方を変えるほどのフットワークの軽さもなければ、経済力もないのが実情。夫は激務の勤め人、わたしは雑誌のライター業、また夫の実家で義母と義祖母(当時)と同居していることもあり、東京を離れることはとても考えにくい状況です。

 さらに言えば、まだまだ小さいこども2人(のちに3人)をこれから育て上げなければならず、一般的に大学卒業まで養育するのに一人当たり3000万円というのですから、現実はなかなかに厳しいのです。この、高くて高くておよそ突き崩せない「東京で生きる壁」を、木槌でコツコツと叩きはじめたのは、夫の方でした。

 「たとえば、おまえはちょっと変なくらい動物好きだろ?カタツムリを手に這わせたり、フクロウ飼いたがったり、こないだは公園にいた巨大なカエルをかわいいって抱っこしてたよな?」

 そんな、どうでもいい話からの導入でした。

 「あとな、最近、観葉植物が家にあふれてるけど、なんか窮屈だよな、こちゃこちゃと育てるのって。東京っていうのはあれだな、場所に不自由だよな」

 こまごまと支離滅裂に聞こえる話は続きます。

 「つまりさ。なんかないかね?ほら『大草原の小さな家』って物語があるだろ?ああいう暮らし方。きっとこどもたちを育てるのにいいだけじゃなくて、俺らも楽しいよ。家はボロでも小さくても、まわりには自然が広がっていて、あっち行っちゃダメこっち行っちゃダメじゃなくて自由に遊べるところ。そういう家ないかね」

 そういう家は、あいにく今持ち合わせていません。靴下の片一方みたいに、ないかねと言われてすぐ出てくる類のものではないし、なのに出せと言われはしないかとわたしは身構えました。元来わがままな夫、何かまた、無理無体を言いはじめるのではないかと。

 「あるだろ?あるよ、きっと。今まで興味なかっただけで探せば出てくるよ。そういう夢のある田舎暮らし物件」

 あるかもしれないけれど、今わたしは知らないし、引っ越すのが無理な事情は共有しているはずです。

 「だからさ、週末住宅っていうのかな?車で週末通えるところにあるもうひとつの家。そんなのがいいよな。別に贅沢言ってるわけじゃないよ、軽井沢に豪華な別荘を建てるっていうんじゃないよ、ボロい家が付いてる、やすーい土地でいいんだ。あるいは、広い土地に小さな小さな小屋を建てる。どうかな?」

 もうひとつの家。ちょっとひっかかるフレーズでしたが、もうひとつ家を買うという規模の贅沢は論外、とすぐに首を横に振りました。やっぱり、ありえない。日々の生活水準を考えると、家計にとって大変バランスの悪い出費だと思えたからです。

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馬場未織 

 

1973年東京都生まれ。1996年日本女子大学卒業、1998年同大学大学院修了後、建築設計事務所勤務を経て建築ライターへ。プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約200往復する暮らしの中で、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、東京に野菜の美味しさを届ける「洗足カフェ」(目黒区)、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営などを手掛ける。

 


週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記

山崎亮氏推薦!「すごくアナログだけど、とても未来的な生活だ。」東京生まれ、会社勤め、共働き、子供3人。「田舎素人」の一家が、都会と里山の往復生活を通して、手さぐり体当たりで見つけたこれからの豊かで新しい暮らし方。土地探しから地域との関わり方、家庭菜園まで、等身大のデュアルライフ入門。

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