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週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記
【特別連載 第12回】 2016年9月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
馬場未織

築百数十年の田舎の古民家を
都会のよそ者が買えるのか?

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平日は都会で働き、週末は田舎で過ごす「二地域居住」という新しい暮らし方。「田舎素人」の一家が、直面する困難を乗り越えていくドタバタ奮闘記。田舎には先祖代々の家や土地が多いが、都会者でもそうした土地を買えるのだろうか?二地域居住の新しいバイブル『週末は田舎暮らし』から、一部を抜粋して紹介する。

◆これまでのあらすじ◆
東京出身の「田舎素人」だが、「二地域居住」に憧れる一家。神奈川、千葉の不動産屋をめぐり歩き、ようやく「運命の土地」と出合う。一家の熱意にほだされ、不動産屋も土地を手に入れるために、とことん協力をしてくれるようになった。そんななか、彼らは生涯忘れられない人たちと知り合うことに……。

売り主さんに会ってこそ、分かること

 もうひとり、この関わりがあったからこそわたしたちの今があると言えるのは、売り主さんご本人との対面でした。

 きっかけは、ちょっと知っておいてほしいという、不動産屋さんからの一本の電話です。

 「売り主さんの意向では、この土地はご先祖代々守ってきたものなので、一括購入してもらいたいとのことなんです。今までもたくさん、買いたいという方が見学にいらっしゃったらしいんですが、なかなか折り合わず断ってきたようで。

 あと、近隣との関係もあるので真面目に土地を使ってくれる人でなければ売りたくないと思っていらっしゃるそうです。草刈りも含め、あの広さの管理は大変なものですしね。何しろ大事になさっていた土地でしょうからね、手放すにあたりいろいろ思うところもおありだと思いますよ」

 その言いにくそうな口ぶりから、売り主さんはどうやら、意に染まない売り方をしてまで手放しはしない、という強い考えがあることがわかりました。同時に、いつ行っても美しく手入れされた土地を思い浮かべ「大事になさっていた土地」という言葉がずんと胸に響きました。

 わたしたちも一世一代の買い物をするかどうかで緊張しているけれど、売り主さんにとっても「先祖代々守ってきた土地を売る」のは大きな決断なはず。自分たちの条件に合うか合わないかばかり考えてきたわたしにとって、その視点に立つのはとても新鮮な感覚でした。

 さらに瞬時に理解できたのは、「自分たちが決意すればいいってもんじゃない」という難しさがあること。決して、いつでも誰でもウェルカムな売り主さんではない。厳然と、こう売りたいという意思があるのです。

 想像するにどうも手ごわい相手らしい売り主さんとご対面するのは、もちろん緊張することです。

 しかも、そもそも不動産屋さんの仲介により「だれそれさんの土地」という匂いを消し、土地を抽象的な商品にしているものを、わざわざ生々しい関係にさかのぼるわけですから、ある意味心をすり減らすことになるだろうという予想もつきます。

 それでも、条件がうまく噛み合わなければ売ってもらえない、わたしたちも買う決意もできないという膠着状態を解消するためには、不動産屋さんを介して伝え合うより顔を見て話した方がきっといいはずと、わたしたちは判断しました。

 ぐちゃぐちゃ悩む前に、話せば、分かる。

 そしてもし、分かりあえずにご破算になっても諦めもつくさと、不動産屋さんにお願いして、まさにこの物件の家で売り主さんとお会いする手はずを整えてもらいました。

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馬場未織 

 

1973年東京都生まれ。1996年日本女子大学卒業、1998年同大学大学院修了後、建築設計事務所勤務を経て建築ライターへ。プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約200往復する暮らしの中で、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、東京に野菜の美味しさを届ける「洗足カフェ」(目黒区)、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営などを手掛ける。

 


週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記

山崎亮氏推薦!「すごくアナログだけど、とても未来的な生活だ。」東京生まれ、会社勤め、共働き、子供3人。「田舎素人」の一家が、都会と里山の往復生活を通して、手さぐり体当たりで見つけたこれからの豊かで新しい暮らし方。土地探しから地域との関わり方、家庭菜園まで、等身大のデュアルライフ入門。

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