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週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記
【特別連載 第23回】 2016年10月19日
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馬場未織

里山に暮らして初めてわかった、
日本の田舎がクライシスに向かう不安感

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平日は都会で働き、週末は田舎で過ごす。東京生まれ、会社勤め、共働き、こども3人。「田舎素人」の一家が始めた「二地域居住」。自然の恵みを受ける暮らしの一方で、新たに見えてきた「日本の田舎の問題」とは?都会と田舎の往復生活をまとめたドタバタ奮闘記『週末は田舎暮らし』から、一部を抜粋して紹介する。

電車の中でひとり、イノシシに悩む

 ヒトヒトヒトのぎちぎち電車に乗り、取材先など仕事に向かうとき。この電車にいる人たちの頭の中では、今一体どんな世界が広がっているのだろうと考えることがあります。

 ただし、「イノシシ被害の対策」について考えている人は、乗客多しとはいえ、わたし以外にいるでしょうか?購入からしばらく平和が保たれていた敷地に変化が訪れたのは、今から4年ほど前のことでした。ウサギやモグラがやったにしてはあまりにも深く広範囲に土が荒れ、地面に穴があき、「土地が破壊されている」と感じるようなひどい爪痕が、しばしば見られるようになりました。

 そういえば、その前年に、地域の専業農家さんの田畑や土手のまわりにイノシシネットが張られたことを思い出しました。うちはそのときまだイノシシの被害にあっておらず、小さな畑をお楽しみでつくる程度だし問題ないかな、と思っていたのですが、やられてみればその被害の大きさや原状回復の難しさを実感し、うちのめされました。これが世に言う「獣害」かあ、物理的被害もそうだけど精神的にもやられるなあ、と出るのはため息ばかりです。

 館山自動車道には実にいろいろな「動物注意」の看板があります。サルの看板が出ている付近で実際にサルの親子が横断しようとしている光景を目撃したこともありますし、我が家にも来た形跡あり。クマ以外はたいてい出没すると言っても過言ではありません。

 しかし我が家の宿敵は、やはりイノシシです。四つ足のブルドーザーという名のとおり、鼻先とキバで70キロの石もひっくり返すという怪力。土手に積んである巨大石も、四方八方に転がします。そこまでして何が欲しい!と言いたくなりますが、彼らは土の中にいるミミズが大好物らしい。鼻がいいらしく、ミミズがいそうなすえた土の匂いを嗅ぎ分けて、あんな釣り餌のようなささやかな獲物をとるために、あたりをがっしゃがしゃにぶち壊すのです。

 畑で丹精していた野菜は全部ひっくり返されて食べかけが散乱、そこらじゅうが落とし穴級の穴ぼこだらけで、トラクターなど使えない状態、土手の部分ではいたるところで崖崩れが起きています。

 この状態を元どおりに戻すために、一体どれだけの労力を要するだろう……。

 そして、彼らは、またやってくる。

 確実に、またやってくる。

 我が家のように山の中腹に張り付いた土地は、イノシシネットでぐるりと囲むのも非常に難しく、数々の撃退法を試したものの効果なし。たまに、隣家の敷地との境界に設置された箱罠にかかることはありますが、何頭も捕まるものではありません。

 わたしたちが東京にいる今この瞬間にも、イノシシの家族がやってきているかもしれない。というか、ひょっとしたら日曜夜にわたしたちが東京に向かったのと入れ違いでイノシシ家族が来て住んでいるのか?

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馬場未織 

 

1973年東京都生まれ。1996年日本女子大学卒業、1998年同大学大学院修了後、建築設計事務所勤務を経て建築ライターへ。プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約200往復する暮らしの中で、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、東京に野菜の美味しさを届ける「洗足カフェ」(目黒区)、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営などを手掛ける。

 


週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記

山崎亮氏推薦!「すごくアナログだけど、とても未来的な生活だ。」東京生まれ、会社勤め、共働き、子供3人。「田舎素人」の一家が、都会と里山の往復生活を通して、手さぐり体当たりで見つけたこれからの豊かで新しい暮らし方。土地探しから地域との関わり方、家庭菜園まで、等身大のデュアルライフ入門。

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