ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
陳言の選り抜き中国情報

中国経済、実業低迷・バブル肥大の残酷な真相

陳言 [在北京ジャーナリスト]
2016年8月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage
上海の財政収入が急拡大しているが、実態は製造業など実業の低迷と金融・不動産業の活況という歪んだ構図だ

 あらためて上海の繁栄ぶりを証明する最新データが公表された。上海の財政局によると、今年上半期の一般公共予算収入は4196億元(約6兆3000億円)で、前年同期比で30.6%も激増しているという。

 この30.6%という数値は何を意味しているのか?今年上半期、全中国の財政収入増加率は前年同期比でわずか7.1%と低調で、中でも遼寧省は同増加率がマイナス18.6%と低迷している。つまり、今年上半期は中国にある都市の大半が、財政収入の面で伸び悩んでおり、特に東北、北西の各地方ではマイナスが際立っている。

 少数ながら大きな増加を維持している主要都市もあるが、せいぜい15%前後で、上海同様に24.4%という顕著な増加を見せているのは深センだけである。とはいえ、上海の財政収入総額が深センの2倍以上であることを考慮すると、やはり上海市政府の資金吸引力が全国でトップということになる。

喜べない上海の財政収入の増加

 問題は上海がどうやってそれを成し遂げたかということだ。

 GDP成長率において、上海はここ数年間ずっと四つの一級都市(北京、天津、上海、重慶)の中で最下位だっただけでなく、全国の大半の都市よりも低かった。

 人口増加率においても、珍しいことに上海は昨年マイナスに転じるという現象が見られた。

 一定規模以上の工業企業においては、総生産額と総利益がいずれもマイナスで、今年の1月から5月まで、6つの主要な工業分野のうち鋼材製造、設備製造、自動車製造、電子機器製造はいずれも後退し、石油化学とバイオ医薬だけが若干増加した。第2次産業の業績がこれほど悪いのは、4つの一級都市の中で上海だけであった。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

陳言 [在北京ジャーナリスト]

1982年南京大学卒。『経済日報』に勤務してから、1989年に東京大学新聞研究所、慶応大学経済学研究科に留学、博士課程終了、萩国際大学教授。2003年に帰国。月刊『経済』主筆。2010年から日本企業(中国)研究院を設立、執行院長。ダイヤモンドオンライン、『週刊東洋経済』『アエラ』『中国経済週刊』『中国経営報』などのメディアに数多くの記事を掲載。2015年日本語日刊紙『速読中国』を創刊して編集長を兼任。


陳言の選り抜き中国情報

世界第2位の経済大国になった中国は、依然として猛烈なスピードで変化している。一方、中国にはウェブ系も含めると、何千というメディアが存在し、情報が溢れかえっている。北京在住の経済ジャーナリスト・陳言氏が玉石混交の情報の中から、中国の対外関係、多国籍企業、技術革新、中国の経済政策など日本経済や日本企業に影響を及ぼす情報を選りすぐり解説する。そこからは日本のメディアが伝える中国とは、違った姿が見えてくる。

「陳言の選り抜き中国情報」

⇒バックナンバー一覧