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難聴の原因は骨破壊!?
おとなの真珠腫性中耳炎

監修 池園哲郎(日本医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科准教授)

井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第16回】

慢性の中耳炎を抱えている中高年は意外に多く、思わぬ合併症の危険もある。合併症の代表の一つが真珠腫性中耳炎だ。これは良性のイボが耳小骨を溶かしながら増殖。骨破壊が進むと顔面神経麻痺や髄膜炎を併発し、命にかかわることもある。耳の違和感や難聴を簡単に年のせいと片づけてはいけない。

 子どもの頃から中耳炎を繰り返していたPさん、50歳。多少の耳だれ、痛みは慣れっこだが、最近のそれは血と膿まじり。心なしか聴力も落ちてきた気がする──。

 中耳炎といえば乳幼児の病気という印象が強い。夜中に耳が痛いと泣き出した子どもを抱え、救急外来に駆け込んだ記憶がある方もいるだろう。急性の中耳炎は鼓膜の内側にある「中耳」が感染し炎症を起こすもので、RSウイルスや肺炎球菌が原因菌。簡単に病院へアクセスできる今とは違い、ひと昔前はそのまま慢性化することもまれではなかった。その名残で慢性の中耳炎を抱えている中高年は意外に多く、思わぬ合併症に驚かされることもある。

 慢性中耳炎から発生する合併症の代表は、炎症を繰り返すうちに鼓膜に孔が開き、難聴と耳だれが生じる穿孔性中耳炎と、鼓膜どころか耳の奥に音を伝える「耳小骨」を破壊してしまう真珠腫性中耳炎だ。こちらは鼓膜の皮膚組織が中耳の奥に向かって袋状に入り込み、一見、真珠のような白っぽい腫れ物をつくる。良性のイボのようなものでがん化することはない。その代わりに、周りの骨を溶かしながら増殖するというやっかいな性質があるのだ。

 骨破壊が進むと前述の耳小骨や三半規管が損なわれ、難聴やめまいが生じる。さらに中耳に接する頭蓋底部にまで進行すると顔面神経麻痺や髄膜炎を併発し、命にかかわることもある。耳の違和感や難聴を簡単に「年のせい」と片づけてはいけない。

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


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