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「引きこもり」するオトナたち

20年前から「引きこもり」は増え始めていた?
"まぶしいバブルの光"に存在を消された人々の今

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第43回】

「3高」、「ねるとん」流行のバブル期
明るい街に"自分の存在"を消されていた

 毎日、ワサワサと人がいるところに触れているだけでも、元気が出てくるという話を当連載でも以前紹介した。しかし、20年前に、若者文化の中心である渋谷の街に出かけたら、落ち込んだという当事者がいる。

 「渋谷という街が、私にとっては明るすぎたんです」

 こう明かすのは、都内に住む40代の須田耕一さん(仮名)。身に異変が起きた1990年当時は、まだバブルの絶頂期の頃。

 「若者らしいことをしてみよう」と思い、須田さんは昼間、ふらっと1人で渋谷に行ってみた。街には、最新のDCブランドに身を包んだ男女が、楽しそうに浮かれ騒いでいる。

 皆、同世代で違うわけがないのに、決定的に何かが違う。「この人たちとは、つながれないな」と思った。

 「街の明るさが強く映れば、それだけ影の部分も濃く出る。そんな光のコントラストを感じてしまって…。渋谷には居場所なんてなかった。自分の存在すら、消えていたんです」

 少なくとも、そのように感じた須田さんは、夕方、帰宅する頃にはがっくりと落ち込んでしまった。

 その後、セラピストに診てもらったところ、「神経症」といわれ、病院に通った。

 当時は、引きこもりとかフリーターとかいう言葉もない。自分がどんな状態なのかもわからずにいた。

 ただ、世界は劇的に動いていた。

 90年代に入ると、ベルリンの壁が崩壊。東西冷戦が終結した。それまでは「本当に核戦争が始まるのではないか」と思っていたのに、その緊張感から解き放たれた。

 「ターミネーター」が、滅茶苦茶リアルに感じられた。「仮面ライダー」に出てきた悪役のショッカーは、敵の改造人間に洗脳される。その中の「死神博士」が強烈で怖くて、トラウマにまでなった。

 しかし、その後、オウム信者が本当にショッカーのようなヘッドギアを付けていたのを見て、一気に幻想から目が覚めた。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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