コンビニはタバコをいつまで売り続けられるか※写真はイメージです

コンビニでたばこを売らなくなる日はやってくるのか――。先日、受動喫煙防止の強化策が先送りが決まった。たばこ用自動販売機成人識別カード「タスポ」の導入以来、喫煙者がたばこ購入のためになだれ込んできたコンビニチェーンでは、ひとまず安堵の胸をなで下ろしていることだろう。コンビニ全体の売上高の2~3割を占める「ドル箱商品」だけに、販売の可否を真剣に考えなくて済んだからだ。しかし、受動喫煙による健康被害防止の機運は盛り上がる一方だ。東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、いずれコンビニでもたばこ販売の是非が問われる局面がやって来る可能性もある。(流通ジャーナリスト 森山真二)

日本は
喫煙者にとってパラダイス

 政府は健康増進法改正法案の国会提出を目指していたが、規制慎重論のある自民党側と一致できなかった。焦点となったのは飲食店での喫煙。厚労省では屋内禁煙を原則とし、喫煙専用室の設置案を示したが、自民党は一定の面積以下なら飲食店は喫煙・分煙の表示などを条件に喫煙を認めるという案を出しており、溝は埋まらなかった。塩崎恭久厚生労働大臣は次期国会に提出を目指したいとする。

 日本は小規模な飲食店、さらに屋内でも喫煙可のところも多く、たばこの吸える場所の多さでいえば喫煙者のパラダイスといえる環境である。

 しかし、世界保健機関(WHO)の調査によると、公衆の集まる場所で屋内全面禁煙の義務の法律がある国は49ヵ国。日本は法律もなく、屋内全面禁煙に努力しますと言っているだけで、WHOの幹部によれば日本の受動喫煙対策は先進国の中でも「前世紀並みに時代遅れ」と酷評している。

 これに加えて、日本ではどこでも手軽にたばこを買える環境がある。「すぐ近くのコンビニでたばこを売っているから、日本の喫煙率の下がり方が遅いんですよ」と訴えるのは、大手スーパーの幹部だ。