スマートフォンの登場で公私の境目が曖昧に

1日84分もの時間をメール作成に使っている日本人

「休日は仕事を忘れてリフレッシュ!」なんて発想は、もう古いかもしれない。携帯電話が普及してからは、いつでも、どこでも連絡が取れるようになってしまったため、公私の境目が曖昧になってきている。特にスマートフォンが登場して以降は、電話のみならずビジネスメールも休日に受信、返信できるようになり、その傾向が顕著になった。

 一般社団法人日本ビジネスメール協会が発表した「ビジネスメール実態調査2016」によると、「仕事でメールの送受信に利用している主な機器」(複数回答可)としてパソコンの次に多く挙げられたのは、スマートフォンで47.80%だった。iPadなどのタブレットも11.08%となっている。それだけ、休日に対応できる環境が整っているということだ。

 また、仕事で1日に送信しているメールは平均12.13 通だという。 1通作成するのにかかる平均時間は7分という調査結果から計算すると、少なくとも1日84分をメール対応に使っていることになる。ちなみに、86.24%の人が1日以内の返信を望んでいる。その要望に休日も関係なく応えようとすると、たしかに大きなストレスになりそうだ。

 ビジネスにおけるコミュニケーションの速度は、上昇の一途をたどっている。“即レス文化”が日常を侵食し、プライベートな時間にも迅速な対応が迫られる。そんななか、ヨミウリオンライン(読売新聞)は9月6日付の記事で、休日にビジネスメールのやり取りをしないで済む「つながらない権利」について問題提起し、大きな反響を呼んだ。記事によるとフランスでは「つながらない権利」を法制化する議論が行われているそうだ。

 今回は、リサーチ会社「ジーリサーチ」の協力を得て、全国の男女200人にアンケートを実施し、休日や勤務時間外における仕事上のやり取りについて調査することにした。ヨミウリオンラインの記事では、主に「社内メール」が問題になっていたが、今回の記事では社内に限らず取引先からの連絡(メール、電話含む)についても調査対象とした。

 果たして、どれくらいの人が「つながらない権利」の必要性を実感しているのだろうか。