主力の液晶ディスプレイ向けをはじめ幅広い分野を手がけ、シェア上位の製品も多数持つ“ガラス界の総合商社”的存在の旭硝子。しかしライバル各社も、新たな分野に特化することで追い上げを狙う。総合力を武器に、今後どのような成長戦略を描くのか。石村和彦社長に聞いた。
(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

旭硝子 石村和彦社長インタビュー<br />液晶の値下げ圧力と新興勢に<br />負けるわけにはいかないPhoto by Toshiaki Usami

 液晶ディスプレイは足元で減産に入っているが、一時的なもの。確かに、テレビの伸び率は鈍化するが、新興国での需要が増えていくので絶対量は減らないはずだ。

 ガラスに対する値下げ圧力は常に受けている。しかし当社はできるだけ収益性を下げないよう、価格下落はコスト改善で補っており、今後も努力を続けていく。

 韓国LG化学が当社と同じ製法でガラス基板に参入するというのは、見ものだ。ハードルはそうとう高いだろう。なぜなら当社でも20年以上技術を積み重ね、今のコスト競争力をつけた。一朝一夕で追いつかれるとは思わない。

 当社の強みはガラスを中心に、化学品やセラミックスも手がけていることだ。ガラス会社として見ると非常にユニークで世界に類を見ない。ガラス技術を深めるだけでなく、化学品の技術も融合し新製品を開発していくことが競争の源泉になる。