連載第5回は、志を追求するために仕事を絞り、減った収入をアルバイトで補いながら生活を送るフリーライターを紹介しよう。この職業では、慢性的な不況で生き場を失い、派遣社員や契約社員、さらには専業主婦に戻る人たちが目立ち始めた。40代でありながら肉体労働で奮闘する彼の姿は、シュリンクする個人事業主の1つの象徴的な姿と言える。
あなたは、生き残ることができるか?
今回のシュリンク業界――フリーライター
新聞社や出版社に社員として属するのではなく、個人事業主として様々な会社で記事や本を書く職業に就く人は、1960~70年代、週刊誌や月刊誌の売れ行きが多かった時期に増えた。作家やジャーナリストとして活躍する前に、「ライター」として経験を積む人も少なくない。
だが、彼らが書く場は年を追うごとに減りつつある。出版販売額が1997年にピークを迎え、現在に至るまで13年連続のマイナスとなるなか、収入源となる月刊誌・週刊誌の休刊点数は、創刊点数を上回る状態が続いている。
原稿料だけではやって行けない
たこ焼き屋がなければ月収15万円
「月に30万円(額面)ほどかな……。政治・社会系の雑誌の原稿料収入が15万円くらいで、たこ焼き屋でのアルバイトが約15万円……」
フリーライターの浅見敦さん(仮名・43歳)に収入を聞くと、つぶやくような口調で答えた。10代の頃はバーテンをしたり、教育系NPOやIT企業で働いたりしていた。30代半ばでライターとなった。その頃、大学にも通い、政治を学んだ。