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シュリンク業界で生き残れるか?~構造不況の迷宮で再起を図る人々 吉田典史

50代で年収380万、痛みでトイレも使えぬ生活苦!
タクシードライバーが沈む不況と過当競争の底なし沼

――都内タクシー会社の乗務員・坂田義則さん(仮名)のケース

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第4回】 2012年9月25日
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 連載第4回は、タクシー業界で働く乗務員(タクシードライバー)を取り上げる。彼は50代で月収手取り20万円台。1日に20時間ほど車を運転するため、下半身を痛め、和式トイレを使えない日々だ。後半では、タクシーの運転手が加盟する労働組合を取材した。この業界の厳しい実態が見えてくる。

 あなたは、生き残ることができるか。


今回のシュリンク業界――タクシー

JR新宿駅の西口で付け待ちをするタクシー。(※本文と関係はありません)

 2009年度のタクシー市場は、1兆7749億円(法人、個人合計)。バブル崩壊前後となる1991年度の6割強にまで落ち込んだ(日経新聞 2010年10月27日朝刊)。

 業界で大シュリンクが起きているベースには、自家用車や電車などの交通手段の充実、長引く不況による利用者の減少などが挙げられる。

 また、2002年から最近まで続いた規制緩和により、タクシー台数が一気に増えた結果、業者間、ドライバー間で競争が激化したことも、ドライバーの生活苦に拍車をかけている。まさに「規制緩和不況」の典型的な業界と言える。

 今後は、医療、福祉、観光分野などで潜在的な需要を掘り起こすことが、業界にとっての課題となる。


老後不安でタクシーを始めたものの
50代で年収380万円前後の生活苦

 「ここ数年は平均年収が380万円前後(額面)で、月収の手取りは20万円台の後半かな……。歩合給だから、額は稼ぎに応じて毎月変わる」

 タクシードライバーの坂田義則さん(仮名・54歳)は、太い声でつぶやく。6年前(2006年)に都内のタクシー会社に入り、現在は2つ目の会社に勤務する。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


シュリンク業界で生き残れるか?~構造不況の迷宮で再起を図る人々 吉田典史

「働いても働いても、生活が楽にならない」。それは気のせいではない。日本の多くの業界は今、先が見えない「構造不況」の暗闇の中にいる。シュリンクする業界で働く人々にとって、業績アップ、収入増、労働環境の改善などを目指すことは難しい。しかし、そんななかでも、他人と違うアイディアを考案したり、誰も気づいていないビジネスを見出すことで、必死に生き延びようとする人はいる。この連載では、シュリンク業界で絶望し、起死回生を図るビジネスマンや個人事業主の生の姿を描くことを通じて、私たちがビジネスで心得るべきヒントや教訓を考えていく。

「シュリンク業界で生き残れるか?~構造不況の迷宮で再起を図る人々 吉田典史」

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