「もうロムニーの悪夢を見ない」
オバマ続投に湧くサポーターたち

オバマ再選が決まった瞬間、ラスベガスのホテルで喜ぶオバマのネバダチーム。 写真右は、州の精神病院で働くセラピストのアルシア

 オバマ続投。それが決まった瞬間、ネバダ州・ラスベガスのホテルの宴会場に集まっていたオバマ陣営のサポーターたちは湧き返った。

「もう、ロムニーが大統領になる悪夢を見て、夜中にうなされて跳び起きることもなくなるんだ……」

 レズリー・ニューマンはそう言って胸を押さえた。涙が彼女の目尻に溜まっていた。68歳のレズリーはリーマンショック後、持ち家だけは何とか死守したが、老後の蓄えを全て失った。42歳の息子は職を失い、医療保険もない。

「でも、これからきっと良くなる。ロムニー政権になったらどうなっていたかと思うだけでぞっとする。オバマの医療保険改革で、息子が医療を受けられるようになるんだもの」

「ロムニーが大統領になったら、真剣に人生終わりだと思ってた」と言うレズリー

 ネバダ州は、リーマンショック以降、全米で最悪の失業率を記録し続けてきた。全米の失業率が8%を少しだけ下回った今も、ネバダの失業率は11.8%とダントツに高い。2年前には14%を突破したこともある。多くの住民が職を失い、家を失い、干上がっている砂漠の州だ。

 別のオバマ支持者、アルシア・クラークは、公立の精神病院で働くサイコセラピストだ。彼女もため息をついて胸をなで下ろしていた。

「ロムニーが大統領になったら、福祉関連の予算はごっそり削られるから、心配だった。私の患者は自殺寸前の重症の人が多いから、州や国からの予算維持は死活問題なの」

ニューヨークのコロンビア大学の学生、アレキサンダー。激戦地の故郷・ネバダでオバマに投票するために大陸を横断してきた

 オバマ勝利と、民主党が上院の過半数を占めたことに喜びを隠しきれず、ダンスのステップを踏んでいたフランク・ディクソン(68)は、ネバダ州の保護観察員の仕事を28年間勤め、リタイヤしたばかりだ。

「共和党はこれに懲りて、法案成立を阻止するためだけに議会でノーと投票する無意味な抵抗を辞めてほしいね。まだフロリダの選挙結果が出てないのに、オバマが勝ったってことは、フロリダで共和党がどんなに汚い手を使って票を盗もうと、無駄だってことの証明なんだから」