転換期の現代日本は、大きく社会が変わった幕末・明治期と重なることが多い。約300年間続いた江戸幕府の崩壊と同時に始まった近代化への未曾有の大変革。激動の時代をサバイブするために必要なこともまた、今日と共通している。時代の転換期に書かれた当時の大ベストセラー『学問のすすめ』から、混迷する現代を生き抜く3つの武器を紹介。
諭吉が教える、
時代の変化に生き残るための「3つの武器」
意外なことかもしれませんが、福沢諭吉の『学問のすすめ』は単に勉強することを勧める箇所はそれほど多くありません。むしろ、時代遅れの古い学問は実際の生活や人生に役立たないから固執するなというメッセージが何度も出てくる書籍です。
では、なぜ『学問のすすめ』なのでしょうか?それは本書が「本当に有効な学問の定義」を論じている書籍だからでしょう。
本書は、300年間続いた江戸幕府が消滅し、たった4年後には廃藩置県で特権を持っていた武士階級が日本からいなくなったほどの大変革期に書かれており、海外情勢を含めた未曽有の社会変化を日本人が体験していた時代に向けて書かれた書です。
幕末明治初期は、サバイバルのため古い時代から脱却し、誰もが新しい時代に飛び込む必要がありました(必要に迫られたと言うべきかもしれませんが)。だからこそ「学習自体の再定義・再考」が何より求められたのです。そして時代遅れになった、もはや使えない学習の定義はきれいさっぱり捨て去ることになりました。
福沢諭吉は「有効な学問」を「実学」としていますが、ここでは「実学」を学ぶ前の前提となる「3つの武器」をご紹介しましょう。
(1) 直面する問題への当事者意識を持つ
(2) 2つの疑う能力と判断力を磨く
(3) 「怨望」を避け逆の行動指針を持つ
この3つの武器を身に付けることで、ごく自然に「有効な学問」に近づくことが可能になります。なにより、現時点で私たちが本当に求めている問題解決力を養うことができるのです。『学問のすすめ』は、単純に本を読むことだけが学問ではないと述べていますが、3つの武器をまず身に付けることは、「学問のための学問」ではなく、私たちの人生を確実に向上させてくれる、本当に役立つ学問の実行へと導いてくれるポイントとなるのです。