株式市場の活況が続いている。東証1部の売買代金は4月15日まで8営業日連続で3兆円を超えた。2007年7~8月以来の連続記録である。投資家別に見ると、主役は個人と海外。残念ながら国内機関投資家は元気がない。

 個人投資家は、4月第1週(1~5日)に差し引き6518億円を売り越した(東京・大阪・名古屋3市場の1・2部等合計)。06年4月第1週以来となる巨額の売り越しである。しかし、これをもって個人投資家が弱気と決め付けるのは軽率だろう。

 個人投資家はもともと逆張り姿勢が強く、株価の上昇局面では売り越しとなりやすい。最近はIPO(新規株式公開)市場やPO(公募・売り出し)市場が好調なため、こうしたファイナンス銘柄を入手した(この分は買いに含まれない)個人投資家による利益確定売りが膨らんでいる面もある。

 加えて、株価の急回復により、これまで長期保有を余儀なくされていた投資家から「やれやれの売り」が出ているとみられる点も見逃せない。塩漬け株の呪縛が解け、久々に株式市場に復帰しつつある個人投資家も少なくないのではなかろうか。

 実際、筆者の経験でも、このところ申し込み段階で満席となる個人向けセミナーが続出するなど、個人投資家の熱気が感じられる。従来6~7割程度だった申込数に対する実際の参加率が、9割を超えるケースも増えている。会場では、熱心に話を聞きメモを取る姿が目立つようになってきた。

 昨年10月前半には15%台にとどまっていた個人投資家の売買シェアが、今年に入ってからは25~30%に跳ね上がっている。ネットの売り越し・買い越しだけに目を奪われていると本質を見逃しかねないだろう。グロスの売買代金から読み取れる力強さと併せて判断したい。