世界で最も刺激的なビジネスデザインスクール「カオスパイロット」に留学中の大本綾さんが学んだ“クリエイティブな儀式”。それは、直面した困難を自らの手で乗り越える方法だった。人生の痛み、苦しみなど、あらゆるストレスを解消するための儀式とは何か? そのデザイン法とは? 大好評の「留学ルポ」連載、第8回。

デンマークのビジネスデザインスクールで学ぶストレス解消法

 3年制のデンマークのビジネスデザインスクール、カオスパイロットに留学して1年が経ちました。リーダーシップ、クリエイティビティ、起業家精神を実践的に学ぶことを重視するこの学校を選んでよかったと思う理由の一つは、ストレスフルな環境を乗り越えて結果を出すメンタリティと知恵、そして仲間ができたことです。

 カオスパイロットは名前の通り、カオスの中でもパイロットのようにナビゲートできる人材を育てることを目的としているので、与えられる課題は混沌とした状況に放り出されてチームで問題解決を求めるものばかりです。

 問題に向き合い解決法を探るリーダーシップはもちろん、解決のアプローチがクリエイティブであるほど高く評価されるので、それを実現する手法や理論を多く学びます。

 中でも最近面白かったのが、ストレスフルな状況に置かれた人々が遊び心のある“儀式”で困難を乗り越える手法でした。まず、そもそも儀式と聞いて人によって想像するものが異なるかと思います。

 スポーツ心理学の権威である、ジム・レーヤー氏は著書の『メンタル・タフネス――ストレスで強くなる』で儀式は“ビジネスマンとしてのタフネスを身につけるうえで強力な武器”で、身につけ方がわかれば健康も幸福もパフォーマンスも新たな段階へとレベルアップできる、と説明しています。

 実は最近変わった儀式に参加して、気持ちに大きな変化をもたらしてくれた出来事がありました。カオスパイロットの20年の歴史の中でも、ある大きな変化を迎えたときのことです。