日本では今、「プーチンが何を考えているかわからない」という話をよく聞く。マレーシア機撃墜事件の後も、ウクライナ政府vs親ロシア派の内戦は収まらず、ロシアと欧米の制裁合戦が続いている。日本も消極的にではあるが、欧米に追随して制裁を強めており、ロシアの日本への態度も一見すると、徐々に硬化しているように見えるだろう。一体、プーチンはウクライナ情勢と欧米との悪化した関係の落としどころをどこにするつもりなのか。そして、日本との関係をどうしていきたいのだろうか。
これを理解するために、今回は二つのテーマに触れる。一つは、「プーチンとロシア国民が、今何を考えているか?」。もう一つは、「プーチンは訪日を実現したいのか?否か?」。
プーチンの「頭の中」を知ることは可能か?
日欧米とまさに「正反対」のロシア報道
実をいうと、「プーチンの頭の中」(何を考えているか)を知ることは可能である。なぜなら、ロシアは「独裁国家」で「報道の自由がない」からだ。
たとえば日本には、「安倍総理を失脚させることを天命と考える」A新聞のようなマスコミもいる。一方で、「安倍総理を守ることに熱心な」S新聞もある。つまり、総理に対して、「賛成」「反対」のメディアがあり、バランスがとれている。
ところが、ロシアに、「反プーチンマスコミ」はない。正確にいうと、あるのだが、「とても細々と」存在している。ロシアの「3大テレビ」といえば、国営「1カナル」と「RTR」、そして民法最大手「NTV」のことを指すが、このすべてが、クレムリンの支配下にあり、プーチンを批判する報道はいっさい見られない。
ということは、どういうことか?プーチン → 大統領府 → ロシアメディア というラインが一直線でつながっているということを意味する。つまり、ロシアの国営テレビを見れば、「プーチンが何を考えているか?」「何をプロパガンダしたいのか?」がわかるのだ。