日本のベストホテル&旅館byダイヤモンドQ
【第2回】 2015年4月7日 ダイヤモンドQ編集部

旅館でトップは「加賀屋」!
ベスト旅館ランキング100

「泊まってみて良かった旅館」宿泊客3466人調査

最高の旅館はどこか。宿泊客3466人の調査を基にランキングした結果、旅館部門では石川県和倉温泉の「加賀屋」が1位となった。各温泉地にはこれと知られた名旅館がある。日本人の心の故郷ともいえるそんな旅館がベスト100の上位にきた。

「最近5年間に実際に泊まった旅館の中で最も満足した(良かった)旅館」と「不満を感じた(悪かった)旅館」という調査を基にベスト旅館をランキングした(方法については本稿末をご参照ください)。

 ベスト10は次の通りだ。

 1位 加賀屋  (石川県、総合点482点)
 2位 指宿 白水館 (鹿児島県、同327点)
 3位 西村屋本館 (兵庫県、同200点)
 4位 杉乃井ホテル (大分県、同190点)
 5位 水明館 (岐阜県、同168点)
 6位 大谷山荘 (山口県、同157点)
 7位 稲取銀水荘 (静岡県、同144点)
 8位 海舟 (和歌山県、同130点)
 9位 星野リゾート 青森屋 (青森県、同120点)
10位 有馬グランドホテル (兵庫県、同110点)

 ベスト旅館100で2位以下を大きく引き離してトップとなったのは、石川県和倉温泉の「加賀屋」。

 出迎えから見送りまで同じ客室係が担当、食事は部屋食にこだわるなど、古き良き日本流の「おもてなし」が高く評価されている。

「あれだけの規模がありながら、従業員教育がしっかりしていて、さりげない気配りのサービスができるのは驚き」と、旅行会社関係者が舌を巻くほどだ。

 部屋数は232室、最大1400人を収容できる。

「客室係一人一人の個性を生かしていきたい」と語る加賀屋の若女将、小田絵里香さん

 5代目社長の小田與之彦氏と共に宿をもり立てる若女将の小田絵里香さんは、「規模が大きくても小さな気配り、心配りを基本にしたおもてなしはできますし、チームワークの強みを生かしてこそ、お客さまのいろいろなニーズにお応えできるメリットもあります」と語る。

 客と客室係にも当然、相性がある。それを見極めて客室係を配置するのは女将や若女将の役目だ。

 リピート客は客室係を指名して宿泊することが多い。指名がない場合でも、宿泊履歴を調べて同じ係を付けるようにしている。いつ来ても自分を知る客室係が温かく出迎えてくれる安心感。そこには、ベストホテル100でトップの帝国ホテル 東京とも通じるサービスの神髄がある。

 客室は「雪月花」「能登渚亭」「能登客殿」「能登本陣」の4棟に分かれている。

 雪月花と能登渚亭は本間、控えの間があり、料金は標準タイプの部屋で1人当たり1泊2食4万~5万円、5人で利用する場合は1人3万円ほどだ。能登客殿と能登本陣は控えの間がなく、料金はリーズナブル。

 雪月花の15~17階は控えの間にツインベッドを設置。広縁には椅子とテーブルが設置されており、立ったり座ったりがつらい人でも安心して利用できる。また、能登渚亭には露天風呂付きの部屋が6室あり、人気を博している。

 館内の至る所に九谷焼や加賀友禅、輪島塗などの名品が飾られており、16時と17時に始まる館内ツアーでは従業員が解説付きで案内してくれる。

 3月14日には北陸新幹線が金沢まで開通し、30日には能登を舞台にしたNHKの連続テレビ小説「まれ」もスタート。朝の連ドラの舞台を訪ねがてら、加賀屋のおもてなしに触れてみるのもいいだろう。

各温泉地のトップ旅館が
上位にランクイン

 2位の「指宿 白水館」のほか、5位の水明館、6位の大谷山荘、7位の稲取銀水荘、10位の有馬グランドホテルと、加賀屋と同じタイプの大型高級旅館がトップ10の過半数を占めた。

  それぞれの温泉地でナンバーワンの評価が確立している宿であり、その知名度と満足度の高さで多くの客を引き付けた結果だろう。

「水明館」は岐阜県下呂温泉で最大、全246室で1000人まで泊まれる。「お一人さまからご家族、団体旅行まで幅広いニーズに応えられる施設とサービスを提供しています」と女将の滝景子さん。

 最大の魅力は、もちろん風呂だ。江戸時代の儒学者・林羅山が有馬、草津と共に「天下の三名泉」と称した下呂温泉から湧き出る湯を、趣の異なる三つの浴場で楽しめる。

水明館の泉質はアルカリ性単純泉。滑らかな肌触りが特徴で、湯上がりの爽快感は格別

 天井、壁、柱とヒノキをぜいたくに使った「下留の湯」は、心地よいヒノキの香りに包まれ、癒やし効果が倍増される感覚だ。

 澄んだ飛騨の空を眺めながら入る「野天風呂」は、男湯の外湯で約52平方メートルもあり、他人に気兼ねなく長湯ができる。時折、山間を吹き抜ける風が気持ちよい。この風呂では女湯はやや小さいが、その代わりに「展望大浴場」は街側に面して、下呂の街を見下ろしながら24時間利用できる。「温泉街に出なくても、館内だけで湯巡りが楽しめます」(滝さん)という趣向だ。

 レストラン、バーは館内に五つあるが、春に食してみたいのは料理茶屋「北乃寮」の山菜。

 毎朝、料理長が近くの森に採りに行く山菜を天ぷらなどで味わいたい。ほろ苦い山菜で食欲を湧き立たせた後は、地元特産品の飛騨牛を鉄板焼きやホオ葉味噌焼きで堪能するのがいい。病後のリハビリ者向けにオーダーメードの食事も提供する。

「連泊するお客さまが多く、長い人では1週間、夏には避暑で1カ月間お泊まりのお客さまもいます」(滝さん)

ペット宿泊施設が併設の
名旅館、稲取銀水荘

「大谷山荘」は、山口県長門湯本温泉にあるが、温泉地の名前は知らずとも旅館の名前は知られている有名宿だ。

「ハード、ソフト、料理の三拍子がそろっていて、関西圏で絶大な人気を誇っている」(大手旅行会社)

 二つの大浴場は男女入れ替え制。1階「せせらぎの湯」は御影石で造られた露天風呂、香り高いヒノキ露天風呂、ジャクジーなどがある。

 2階「こもれびの湯」は音信川の渓流を望む半露天風呂、ハーブ湯などがあり、いずれも多彩な温泉でじっくりと体を休めることができる。夜はライトアップされた渓流を眺めるのも格別だ。

 館内では大型の天体望遠鏡を備えた天体ドームで星空を眺められるほか、ロビーラウンジではジャズバンドの生演奏もあるなど、子供から大人まで楽しめる施設となっている。

 本館と隣接する「別邸音信」は、〝モダン湯治〟をコンセプトにしたアジアンリゾート風で全室露天風呂付き。女性誌でたびたび紹介されるなど、女性が憧れる宿だ。

「稲取銀水荘」は、静岡県東伊豆ナンバーワンの呼び声が高い、全114室がオーシャンビューの旅館。サービスの高さに定評があり、日本旅館の古き良き接遇を体験できる。

稲取銀水荘で宿泊客の期待を集める磯会席料理

 そのおもてなしと共に宿泊客の期待を集めるのが、伊豆の海の幸をふんだんに使った磯会席料理だ。

 名物・キンメダイの煮付けが全シーズン味わえるほか、季節によって伊勢エビやアワビなどの高級食材が並ぶ。今年から初の試みとして4~7月末までの期間限定で、「地魚のしゃぶしゃぶ」プランも用意される。

 基本は部屋食だが、椅子とテーブルで食事がしたいという人向けに12卓の食事処もある。また、旅館では珍しくペット宿泊施設が併設されており、愛犬家にはうれしい限りだ。

「有馬グランドホテル」は兵庫県の有馬温泉街を見下ろす小高い丘の上にあり、最上階「展望大浴苑」からの眺めは壮観。

 有馬温泉といえば塩分濃度が高くて体が芯から温まる「金泉」、細胞の活性化を促す効果があるといわれる「銀泉」の二つの泉質があることで知られるが、展望大浴苑では両方の泉質を楽しめる。

 地下2階の温浴施設「ゆらり」には、男女の大浴場・露天風呂のほか、水着で入る温水プール、フィットネスルーム、浴槽脇のスペースにデッキチェアとバスローブが用意され、ゆっくりくつろげる貸し切り風呂などがある。ここは宿泊客以外も利用可能だ。

 客室は全部で228室。その半分ほどが畳の部屋とベッドを置いた寝室を持つ和洋室タイプだ。

 食事は部屋食が中心だが、洋食、中華、すし・懐石料理と三つのレストランもあり、好みに応じて使い分けられる。朝食については、部屋食よりも50種類のメニューを用意したブッフェが人気だ。

 有馬グランドホテルには姉妹館として「中の坊瑞苑」があり、こちらは、小学生以下は入館できない大人向けの高級旅館。

 夫婦二人だけのときは中の坊、孫と一緒のときは有馬グランドホテルと使い分ける常連客もいる。

純和風の西村屋本館
大型の杉乃井ホテル

 一方、純和風旅館で上位にきたのが、兵庫県の城崎温泉を代表する「西村屋本館」。

 創業150年余りの歴史と伝統を今に伝えるこの宿は、温泉街の中心部にあり、街を一望できる大師山行きロープウエー乗り場のすぐそば。

純和風旅館では唯一、ランキング上位に入った城崎温泉の西村屋本館

 城崎温泉は七つある外湯巡りが楽しみの一つだが、「御所の湯」「まんだら湯」「鴻の湯」といった外湯にも徒歩2~3分で行ける立地だ。

 建物は、近隣の旅館を圧倒するような大きさと重厚感があるが、一歩門をくぐれば手入れの行き届いた日本庭園が心を和ませてくれる。

 客室はこぢんまりとした一間から露天風呂付き特別室までバリエーションが豊富。数多くの茶室や料亭を建築した昭和の巨匠、平田雅哉氏が手掛けた別棟「平田館」に泊まれば、庭と建物が一体となった数寄屋造りの粋を堪能できる。

 西村屋本館での食事は、『日本百名宿』の著者、柏井壽氏が、「冬場ともなれば日本海の至宝ともいうべき松葉ガニが食卓を飾るが、但馬牛をはじめ、海山の幸に恵まれた地のため、四季を通して舌を喜ばせてくれる」と絶賛する。

 泊まらなくても、昼食、夕食共に同旅館で食べることができるのが魅力だが、人気宿だけに早めの予約が賢明だ。

 続く4位の「杉乃井ホテル」は、西村屋本館とは対照的にファミリーや団体の利用が多い、大分県別府・観海寺温泉の大型リゾート施設。

「大型の温泉旅館で人気のところは、ブッフェ料理でも品数が豊富で、地場の食材を使ったおいしいものをきちんと出している」(本田慎一郎・楽天トラベル事業部国内営業部副部長)というのが最近の傾向だが、杉乃井ホテルはまさにその典型。ディナーメニューは約80種類で、関アジ・関サバも並ぶ。

 8位には共立メンテナンスの「海舟」、9位には「星野リゾート 青森屋」と、ホテル・旅館を全国展開する企業の宿が入った。

 和歌山県南紀白浜の海舟は、宿全体が岬に立つというロケーションで、館内のあらゆるところから雄大な海原を一望できる。

 大半の客室は露天風呂付き和洋室で、岬の先端に点在する離れタイプの客室から順に予約が埋まるという。

 青森屋では、若手従業員が中心となってねぶたなど青森の四大祭りや津軽三味線、民謡など伝統文化をショー形式で楽しませてくれる演出が人気となっている。

 地方への旅館泊の旅では、地元産の料理や温泉などに加えて、その地ならではの伝統文化や環境を堪能する楽しみがある。

 青森屋に代表されるように、星野リゾートが運営する旅館ではほかでも、そうしたニーズに応えている。旅館の新たなサービスとして、今後の展開が注目される。

アンケート調査とランキングの作成方法・見方
 旅行予約サイト「楽天トラベル」を運営する楽天株式会社とダイヤモンド社が共同で旅館とホテルに関するアンケート調査を2015年1月に実施し、全国3466人から回答を得た。総回答者の性別は男性63%、女性37%。年齢は20代以下9%、30代25%、40代37%、50代以上29%。居住地は北海道4%、東北8%、関東35%、中部・東海18%、関西16%、中国・四国9%、九州・沖縄9%、海外1%。
 最近5年間に宿泊した旅館の中で「最も満足した旅館はどこか」という質問と「最も不満を感じた旅館はどこか」という質問の回答について旅館ごとに集計。前者の1回答を10点、後者の1回答をマイナス3点としてその合計を「総合点」としてランキングした。
 以上、ホテルについても同じ形式で質問し、集計・ランキングしている。旅館とホテルの両方で回答があった施設は、回答総数が多い方に集約してランキングしている。