福島第一原発事故を半年前に予言した書『原子炉時限爆弾』で衝撃的な事実を発表したノンフィクション作家の広瀬隆氏。
発売直後から大反響を呼び、即重版となった『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』。
新著で「タイムリミットはあと1年しかない!」とおそるべき予言をした著者が、原発のテロ対策の脆弱さを警告!
スリーマイル島原発事故12日前に公開された映画『チャイナ・シンドローム』が日本人に教える危険性とは?
「9・11」は起こるべくして起きた!?
1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図で衝撃的な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。
原発のテロ対策はどうだろう。
実は、私は、原発がテロに襲われる問題について、昨年までまったく関心がなかった人間である。そこまで議論する必要はないと思いこんでいた。
しかし、今年3月に、フランスでトンデモナイ航空機事故が起こってから、これは日本の原発で今にも起こり得ると、おそろしくなった。
フランスの航空機事故は、ジャーマン・ウィングスの副操縦士の精神状態がおかしくなって、操縦室(コックピット)を閉じてしまい、操縦士を締め出して、勝手に山に激突して、大量の乗客の命を奪った驚くべき事故だった。
私は今年、ドイツで講演会に招かれていたが、飛行機に乗るのがこわくなって、渡欧を辞退したほどだ。
さて、こうした異常事態が起こった原因について、私には心当たりがあった。
2001年9月11日に、ニューヨークの世界貿易センタービルに航空機が突入し、崩壊させた大事件を読者はご記憶だろう。
アメリカ人を震撼させたあの事件は、起こるべくして起こったのである。
実は、ちょうどその1年前の2000年に、私はアメリカのノースウェスト航空のニューヨーク行きジャンボ機で、ファースト・クラスの一番前の席にすわって渡米した。
取材費を出版社がもってくれたので、あとにも先にもない生まれて初めてのファースト・クラスの体験であった。
コックピットのすぐ後ろの席なので見ていると、スチュワーデス(キャビンアテンダント)が自由にコックピットに出入りしている姿を見て、「アメリカの警備なんて、テロを警戒しているというが、いい加減なものだ。これなら私でもハイジャックできる」と、同行の編集者に予告していた。
その予想通り9・11事件が起こったのだ。
この事件があってから、航空機のコックピットには、操縦士以外は入れないようになったのである。