1月29日に日本銀行はマイナス金利を導入する金融政策を導入した(詳しい解説は第28回宿輪ゼミ)。日本の為替・株式など金融市場が年初より混乱していたが、その対応でもあることは間違いない。物価上昇への効果は弱い。

 その混乱する日本の金融市場であるが、特に日本株に影響を与えていたのが「中国株」である。年初からの中国株の下落は、日本株下落の引き金になった。今回は、その中国株の構造と今後の動きを考えてみよう。

アベノミクス以降の株価上昇分も吹っ飛ぶ

 世界の株式市場が大幅に下落している。その原因は中国株(上海株)である。年初来発生した上海株の下落を始めとした金融市場の混乱は、昨年の8月に続くものである。昨年8月の混乱を「チャイナショック」、今回の混乱は「サーキットブレーカー」の制度を中止したことがさらに混乱を増長させたことから「サーキットブレーカー・ショック」といわれている。

 実際、米国株も日本株も中国株の混乱を反映するような形で、“つられて”弱気の相場になっている。ここまで日本株は、日本銀行総裁に財務省出身の黒田東彦氏が就任し、アベノミクスの一環で量的・質的金融緩和を導入し、為替を円安に誘導し、資金の流入により日本株も大幅に上昇させた。しかし、今回の年初からの日本株の下落は、アベノミクス以降の株価の上昇分を吹っ飛ばした形となっている。

 個別株式は“個別企業の業績”の反映ともいえるが、その国の代表的な株価指数となると、“国全体の景気”を表すことになる。中国経済(景気)は、今後は「新常態(ニューノーマル)に入った」という習近平総書記や李克強首相の発言でも分かるように、決して以前のようには、景気が良くない。特に製造業と不動産・建築業の“2つの過剰”がマクロ経済(景気)の足を引っ張っている。