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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

日銀マイナス金利は「ショック療法」
黒田日銀総裁の思惑を読む

【宿輪ゼミ・緊急特別講義】

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第28回】 2016年2月2日
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 1月29日(金)の金融政策決定会合で、日本銀行は金融政策で量的・質的金融緩和のさらなる手法として、銀行から預かる当座預金にいわゆる「マイナス金利」の導入を決定しました。経済学や金融市場でも、通常、預金の金利(利息・利子)はプラスであるのが当然です。しかし、「マイナス金利」とは、預金をすると逆に金利が取られるというショッキング(異常)な状況です。国内では混乱もあるようです。今回は、金融理論に加え、市場や決済部門での実務経験も踏まえて、日銀のマイナス金利について考察してみます。

日銀当座預金の金利に3つのパターンを設定する
――マイナス金利の仕組み

 マイナス金利の仕組みを具体的に見てみましょう。

 まず、民間金融機関が日本銀行におカネを預ける「日銀当座預金」を(1)プラス金利適用部分、(2)ゼロ金利適用部分と、今回新設する(3)マイナス金利適用部分に分けます。

 (1)のプラス金利適用部分とは、日本銀行の「量的・質的金融緩和」の下で各金融機関が預けている預金残高(いわゆるマネタリーベース)で、0.1%の金利が適用されます。(2)ゼロ金利適用部分とは、各金融機関が預金保護のために預けている、いわゆる準備預金と、日銀が政策的に行っている貸出支援基金や被災地金融機関支援など公的資金の合計で、これはゼロ金利となり、さらにタイミングを見てその部分を増加させることになっています。(3)マイナス金利適用部分とは、前述2つの部分を上回る部分で、マイナス0.1%の金利が適用されます。今回、このマイナス金利の部分が新設されたのです。

 この「マイナス金利」は金融機関に対してだけで、一般の企業や個人の顧客に影響はありません。筆者の経験では、邦銀勤務時代、例えばスイスの銀行に邦銀として口座を開いていましたが、この口座にも同様に「マイナス金利」が負荷されます。あくまで「金融機関間」のみに適用されるルールなのです。

欧州の先行事例に学ぶ
――マイナス金利の目的

 これまでの「マイナス金利」の事例をみてみましょう。すべて欧州で、デンマーク(2012年7月導入)、ECB(欧州中央銀行/2014年6月導入)、スイス(2014年12月導入)、スウェーデン(2015年2月)の4つの中央銀行がマイナス金利を導入しました。ちなみに、米国はマイナス金利を導入せず、量的金融緩和からの出口に向かって、金利を引き上げ「正常化」させつつあります。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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公式サイト:http://www.shukuwa.jp/    
連絡先: info@shukuwa.jp

 


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「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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