「ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)」。その名からくるイメージを打ち破る「オーブンローストチキン」など、ノンフライメニューを通常販売する日本KFCの次世代店舗が好調だ。7月9日にグランドオープンして以来、売り上げが「通常店舗の4~5割増」の目標を超えて推移している。

 今後3年半で100店程度の展開を目指すこの次世代店舗には、都心需要を取り込む意図がある。

「一つのコンセプトで一切合財、客を取るのは不可能になっている」というKFCは、日本に進出して40年。進出当初は若者の“ファッション”だった同社も、いまや店舗は全国に広がり、顧客の年齢層も広がっている。特に、都心店舗の維持には“コスト高”という構造的な問題がある。

 まずKFCは材料費率が30%台後半と高い。たとえば日本マクドナルドは31.5%(前期直営店)なのだ。また代名詞である「オリジナルチキン」は、店舗で手づくりするため人手が必要。厨房や冷蔵庫などの調理スペースも店舗の約半分を占めてしまう。

 ところが、都心店舗は家賃や人件費が高い。そのうえイートイン比率が高く、客席数の確保も求められる。これでは採算が合う都心店舗は少なく、KFCは全体の7~8割方が郊外店舗となっている。

 そこで次世代店舗は店舗デザインを変え、客席効率を高めるため閑散時がないようカフェメニューなどを充実。冒頭のローストチキンといった新たな価値のある商品で、単価アップも狙った。

 手間ひまはかかるが、利益率は通常店舗と同じになるよう設計されている。多店舗化に向け、オペレーション体制の確立が早期に求められる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

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